北朝鮮メディアが、ロシア政府が5月に開催する戦勝70周年記念式典を、言葉をきわめて持ちあげている。式典には「金正恩氏が出席する」とロシア政府が発表していることもあり、その実現可能性を占う意味でも注目される。

朝鮮労働党機関紙の労働新聞は3月30日付に、「ロシアでの戦勝70周年慶祝行事の準備事業」と題した記事を掲載。ウクライナ情勢をめぐる米国などの対応を非難しつつ、式典はロシアの実力を見せつける場になるだろうとの見方を示している。

北朝鮮とロシアは最近、人権問題やウクライナ情勢など、それぞれが抱える国際的な懸案に関し、「公式報道」を通じた“援護射撃”や“エールの交換”を頻繁に行っている。

最高指導者である金正恩氏が、人権問題で刑事訴追されかねない状況に追い込まれている北朝鮮にとって、国連安保理での「拒否権」を持つロシアを味方につけておくことは、きわめて重要な外交課題と言える。

一方、「ロシア指導部はウクライナ情勢などを欧米からの圧迫ととらえ、対抗心を燃やしている」(ロシア情報筋)とされ、ロシアは朝鮮半島問題においても米韓軍事合同演習などをめぐり北朝鮮の主張を支持している。

こうした諸々の状況を踏まえると、北朝鮮がロシアと綿密に打ち合わせた上で、「金正恩訪露」を実現させる可能性は低くない。実際、ロシアのラブロフ外相が戦勝70周年式典への正恩氏の参加を明言したのは、李洙墉(リ・スヨン)北朝鮮外相と会談した直後だった。

プーチン・ロシア大統領は、いまや「世界で最も影響力のある人物」(米フォーブス誌)だ。そんな超大物からの「歓待」が約束されているとすれば、正恩氏にとって、国際舞台でのデビューの場としては申し分ない。

プーチン氏にしても、若年の正恩氏を自分に引き寄せることができれば、太平洋地域での発言力はさらに増すことになる。

こうした文脈から見れば、ロシアの戦勝70周年式典に対する労働新聞の“持ち上げ”ぶりは、正恩氏訪露の「地ならし」のひとつとして読むこともできる。

「ロシアでの戦勝70周年慶祝行事の準備事業」
(要約/労働新聞2015年3月30日付)

ロシアが、偉大な祖国戦争勝利70周年を盛大に祝うための事業に拍車をかけている。

偉大な祖国戦争勝利の日である5月9日に合わせ、毎年様々な慶祝行事を行ってきたロシアだが、今回はより大きな意義を付与している。

よく知られているとおり、ロシアは近年、自国の利益と安全を侵害する厳重な挑戦と挑発に直面している。
今回の慶祝行事を通じて戦勝の歴史を固守し、国の団結力と強大国の威力を示威することが、ロシアの打ち出している政治的課題だ。
まずロシアは、ヨーロッパで深刻に広がっている、右翼分子たちの歴史歪曲騒動に打撃を与え、戦勝国としての地位を確固として固守しようとしている。
ヨーロッパの一部の国々では、第2次世界体制勃発の責任を旧ソ連に転嫁し、ナチズムを先導する非正常的な現象がひとつの社会風潮として表れている。

ロシアは戦勝70周年慶祝行事を通じ、自国に対する制裁と圧力にいっそう執着する支配主義勢力の前で、国の潜在力と団結力を誇示しようとしている。
ウクライナ事態が発生したときから、米国はロシアを政治的に孤立させ、経済的に窒息させるための国際的共助とそれに依拠した制裁と圧力を段階的に拡大する一方、NATOの軍事行動によって威嚇の度を上げている。
最近においても米財務省は、ロシア国家商業銀行とユーラシア青年同盟、そして複数のロシア政界人士たちに対する新たな制裁を実施すると発表した。これとともに米国などNATOが、クリミア半島から500キロ離れた場所でロシアに向けた軍事演習を繰り広げた。
米国とその追従性力がねらうのはロシアを政治、経済、軍事的に圧迫し、国力を弱め、内部矛盾と葛藤を激化させて簡単に鼻を折ってやろうというものだ。

このような企図を良く知っているために、ロシアは、戦勝節行事を通じて敵対勢力の野望が単なる空想に過ぎないということを見せつけようとしている。すなわち、慶祝行事で軍事力をはじめとする国の総合的国力をとどろかせ、政府と軍隊、人民の団結した力を示威し、いかなる者もロシアを屈服させられないということを内外に誇示しようということだ。

偉大な祖国戦争勝利70周年とともに、ロシアは自らの姿を改めて堂々と現すだろう。

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