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新型コロナウイルスに加え、腸チフス、コレラ、結核、さらには正体不明の「新型高熱病」まで。次から次へと感染症が蔓延し踏んだり蹴ったりの北朝鮮だが、苦しめられているのは人間だけではない。

今度は、果物を枯れさせる植物の伝染病が流行っているというのだ。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮、コロナと腸内性伝染病に続き結核まで流行

道内の穀倉地帯、粛川(スクチョン)、平原(ピョンウォン)にある農場の一部で、リンゴ、ナシなどが火にあぶられたように真っ黒になって、葉や枝も落ちて最終的には木全体が枯れてしまう病気が流行している。

その病気とは、火傷病(かしょうびょう)。農林水産省の資料によると、病気を引き起こすのは火傷病菌。感染した木の花や樹液からハチなどを通じて菌が広がり、リンゴは褐色、ナシは黒色となり、最悪の場合、木全体がわずか数ヶ月で枯れてしまうという恐ろしい病気だ。

また、韓国農村振興庁の資料によると、温度と湿度の高い梅雨に、菌に感染した樹液が雨水を伝って他の木を感染させたり、果樹園で使用するハサミ、ノコギリ、手袋を通じた感染も起こるとのことだ。

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対策としては、発生区域から半径500メートル以内の樹木に抗生物質剤を散布した上で、感染した木を全て切り倒して土に埋める、または焼却する方法がある。しかし、人間に対して使う医薬品ですら不足し、値段が高騰している北朝鮮では、薬剤散布は非現実的で、感染した木から半径100メートル以内の木を全て根ごと抜いて、土に埋めるしか方法がないとのことだ。

(参考記事:商人に「国定価格」を強要…医薬品高騰に悩む北朝鮮

また、農機具を通じた感染を防ぐためには、これらのアルコール消毒も必要だが、これらも不足している。

(参考記事:「感染者」激増の北朝鮮、ヨモギと酢でコロナに抗う

感染速度が非常に速いため、一度症状が出ると、果樹園全体を埋め戻すしかなく、その後3年間は、果樹の栽培ができなくなる。

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金正恩総書記が、農業生産高の向上を目標に掲げ、個人や企業所所属の土地を無理やり奪い取るなど、強引なやり方が進められている一方で、全く使えない農地が大量にできてしまうということになる。

(参考記事:毎年凶作の北朝鮮農業、何が問題なのか?

ちなみにこの火傷病、日本では発生していないが、中国で発生しており、国境沿いの地域から北朝鮮国内にも広がり、国境から100キロ以上離れた粛川、平原にまで感染が広がったとのことだ。

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北朝鮮産の果物の多くは中国に輸出されており、貴重な外貨収入源となっているが、貿易が再開されたとしても、このような状況では輸出できるわけもない。そもそも、国内で使用する肥料ですら、国内生産分だけでは賄えず、中国からの輸入に頼っていたのに、コロナ鎖国という現実を無視した政策で、国民の健康はもちろんのこと、農業にすら大きなダメージを与えているのだ。

(参考記事:貿易依存の現実を見ず「自力更生」の妄想を続ける北朝鮮