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コロナ禍にある北朝鮮が、次から次へとコロナ以外の感染症にも襲われている。

南西部の穀倉地帯、黄海南道(ファンヘナムド)の海州(ヘジュ)と康翎(カンリョン)で、急性腸内性伝染病の患者が急増していることは既報の通りだ。正確な病名は明らかにされていないが、腸チフスやコレラと見られている。

(参考記事:北朝鮮の「急性腸内性伝染病」、少なくとも800世帯で発生、コレラ、腸チフスか

それ以外にも、また新たな病気が流行している。現地のデイリーNK内部情報筋によると、その病気とは「結核性リンパ節炎」というもの。結核菌が全身のリンパ節に広がり炎症が起きる病気だ。情報筋が説明する、「リンパ節のあるところ、特に頸部や脇の下から膿と血が出る」というのは、典型的な症状だ。

現地では腸チフス、パラチフス、コレラに加え、今回の結核性リンパ節炎、さらにはマラリアまで流行しており、当局は感染者を隔離する措置を取っている。

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結核性リンパ節炎の治療法は、感染している結核菌を除去するために、抗菌剤を使う。国家非常防疫司令部の人員は、患者の数や症状の調査は行っているものの、一切の治療は行っておらず、治療薬も不足しているという。

金正恩総書記は、コロナ対策用として、自分専用の薬を集めて現地に送り、朝鮮労働党の幹部もそれに従った。その中には、結核に効果のあるペニシリンやマイシンも含まれているが、情報筋によると「このような薬を受け取った人は少数に過ぎず、患者とその家族はもどかしい思いをしている」とのことだ。

(参考記事:金正恩氏の「専用薬」が北朝鮮のコロナ対策で意外な波紋

結局、国内の順川(スンチョン)製薬工場製のペニシリンやマイシン、中国製のレボマイシンなどを市場で購入して使用するしかないが、注射薬で1本10万北朝鮮ウォン(約2000円)を超えるほど、価格が高騰している。

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中には、代用としてアヘンなどの麻薬を利用する人もいるが、これらの病気には効果がないとのことだ。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】アヘンと塩水うがいでコロナ自主隔離に耐えた

黄海南道で度々感染症が流行する背景について、情報筋は上下水道の未整備を挙げている。

自宅に蛇口があっても、水が出ないことが多いため、共同の水道を利用するしかない。これが非常に不衛生で、バケツに水を汲むと、底に白い粉や土が沈殿するという。飲用するに当たっては煮沸しているものの、病原菌やウイルスを完全に除去はできないようだ。また、下水道がないため、排泄物がトイレから垂れ流しになることも一因となっている。

(参考記事:蛇口から泥水が…北朝鮮「水道インフラ」のトンデモ度

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感染症の流行は、梅雨の季節を中心に毎年起こっていたが、今までは気に留められることすらなかった。それが、先月12日から以前にも増して強力なコロナ対策が始まったことにより、防疫機関が調査を行うようになったとのことだ。

患者が続出したことで、ただでさえ遅れている田植えが、さらに遅れることになりそうだ。農場の働き手が大幅に減ってしまったからだ。

「働き手があまりにも足りず各農場では大騒ぎになっている」(情報筋)

軍が兵士を動員して田植えを行わせてはいるものの、それだけでは充分と言えず、田植えはあまり進んでいないとのことだ。

(参考記事:「田植え完了」宣言の北朝鮮、実際の達成率は3分の1