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北朝鮮の国営朝鮮中央通信は12日、中央委員会第8期第8期第8回政治局会議の開催に関する記事で、新型コロナウイルスのオミクロン変異株「BA.2」の感染者が首都・平壌で確認されたと報じた。また、16日の報道では、4月末からの発熱患者が全国で121万3550人余りとなり、14日から翌日にかけての24時間だけで39万人余りに達したと報じた。

今まで国内でのコロナ感染者の発生を一切認めてこなかった北朝鮮だが、パンデミックが始まって2年以上経ってようやく認めた。金正恩総書記は、検査、治療を行い、医薬品の予備を動員し、「防疫大戦を勝利のうちに締めくくる」としているが、この発表前とは言え、現場レベルの対応はお粗末なものだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:金正恩氏「防疫大戦の勝利を武力で」…コロナ感染初確認

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、今月3日の時点で、中央が「今年の国家事業の第1位として強力に展開すべき重大事が非常防疫事業」と強調し続けていることを受けて、消毒薬の需要が増加していると伝えた。

清津(チョンジン)市の羅南(ラナム)区域のほとんどの工場、農場では、週に2回行われる清津市防疫所の消毒定形検閲(監査)に備えて消毒薬を準備しているが、その消毒薬とはこのようなものだ。

「昨年取って乾燥させたヨモギと酢を、コロナウイルス消毒薬として使っている」(情報筋)

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ヨモギは、蚊取り線香の代わりに使うもので、酢は、密造酒を醸造した後の酒粕で作ったものだ。部屋の戸締まりをした上で、ヨモギに火をつけて1時間ほどいぶすそうだ。かつて、伝染病が流行ったときにも同じような方法で消毒を行っていたが、情報筋は「ヨモギの煙でコロナウイルスが完全に消毒できるのか信じられない」と疑問を示している。

市内では、一般的な消毒薬がないため、ほとんどがこのような方式で形ばかりの消毒を行っているとのことだ。国が消毒薬を供給してくれないため、このような方式で対応するしかないのだ。旧時代的で形式的なやり方を目にした市民は、強く落胆しているという。

両江道(リャンガンド)の情報筋も、ヨモギと酢を使った消毒を行っていると伝えた。市場では酢の値段が高騰し、密造酒業者は大儲けしている。

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中央は、非常防疫体制を繰り返しているが、現地住民は「基本的な消毒薬もないのに、素手でコロナウイルスを防げということなのか」と反発している。

北朝鮮では、コロナ禍当初から消毒薬が不足しており、塩水、ニンニクの絞り汁などを消毒に使うよう指導されていたが、2年経ってもそんな状況に変化はないようだ。こんなもので「防疫大戦」を戦うのは、竹槍でB29爆撃機を落とそうとするのと変わりない。

(参考記事:消毒液不足の北朝鮮が新たに編み出した「驚きの代用品」