北朝鮮・両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市と、革命の聖地と呼ばれる三池淵(サムジヨン)郡を結ぶ全長80キロあまりの白頭山観光鉄道(三池淵線)。日本の植民地時代に建設された森林鉄道を改造してできたもので、革命史蹟の訪問に利用されてきたが、1994年に大洪水で路盤が流出してしまった。

1990年代後半の「苦難の行軍」を経て、2007年8月からは「6.18突撃隊(建設支援部隊)」3万人を動員して復旧工事を始めたが、わずか4ヶ月で工事が中断した。当初は白頭山が爆発する兆候が観測されたというのが理由とされたが、本当の理由は「中朝国境に近すぎるから」だったようだ。

工事は2015年5月にようやく再開し、地面が完全に凍結する冬季にも続けられていたが、何度も完成が延期され、最近になってようやく完成し、試運転にこぎつけた。地域住民は、苦しい勤労動員から解放され喜んでいると、デイリーNKの現地の情報筋が伝えてきた。

(参考記事:金正恩体制の聖地「白頭山」へ向かう観光鉄道工事再開

情報筋によると、試運転が始まったのは先月16日のことだ。正式開通の時期は決まっていないが、現地ではまもなく開通するだろうとの噂が出回っている。その知らせに地域住民は大人も子どもも手を叩いて大喜びしている。

狭軌だった鉄道が広軌に改軌され、安全性も輸送力も高まったことを喜ぶ人もいるが、ほとんどの人は別の理由で喜んでいる。地域住民は、建設労働者への金品の支援を強いられたり、自らが現場に動員され命の危険にさらされたりと、この工事で散々な目にあってきた。そこから解放された喜びだ。

品質や安全を無視してスピードだけを重要視する北朝鮮の「速度戦」のせいで、現場では死亡事故が多発していた。デイリーNKが情報筋からの話を総合した結果、少なくとも26人が命を落としている。

(参考記事:コチェビ出身の労働者ら「見殺し」…北朝鮮の鉄道建設現場で土砂崩れ

また、建設に携わった労働者以外でも、発破事故で周囲の民家が崩壊し、命を落とした一般住民もいる。

(参考記事:北朝鮮、発破工事で民家が吹き飛ぶ…建設現場で事故多発

当局は死者に対して補償をするどころか、きちんと葬ることすらしていない。この路線が「人民の血と汗で作った涙の鉄道」と呼ばれる所以だ。

(参考記事:性犯罪と死亡事故が多発…金正恩氏が号令する「魔の現場」