韓国は、OECD加盟国の中では労災が多いことで知られている。2012年に労災で死亡した人の数は2165人。総人口が韓国の3倍近い日本の死亡者数が1093人であることを考えると、いかに多いかがわかる。

一方の北朝鮮だが、労災について報道も発表もされないので、正確なことはわからない。しかし、大量の労働者が安全装備もなく働いていることを考えると、韓国を遥かに上回る件数の労災が起きていることは想像に難くない。そして実際に、またもや大きな事故が起きてしまった。

「土砂から這い出せない」

北朝鮮が建設を進めている「白頭山観光鉄道」の現場で土砂崩れが起こり、作業員13人が死亡したとデイリーNKの現地の情報筋が伝えてきた。 事故が起きたのは11月末のことだ。普天(ポチョン)郡の樺田(ファジョン)駅と佳林(カリム)駅の間にある急傾斜区間で、突然土砂崩れが起き、働いていた「北部鉄道突撃隊」の恵山大隊の13人が土砂に埋もれ死亡した。

この隊は、孤児やコチェビを収容する恵山中等学院の卒業生たちからなる建設部隊で、栄養状態が悪かったのか、中学生より体格が小さかったという。

住民は「突撃隊に配給された白米は幹部が横流ししてしまったため、残り少ないコメにジャガイモを混ぜて炊いた。そんなものしか食べていないのに、土砂から這い出せるわけがない」と幹部を非難した。

「補償」もゼロ

事故現場の復旧には、恵山の女性同盟のメンバーがあたっているが、交通手段がないため、毎日8キロの道を歩かされているという。メンバーの間からは「幹部の息子が死んだりしたら大騒ぎしただろうに、死んだのは孤児だから何事もなかったかのような扱いだ」との声が聞こえてくるという。

時々視察に来る幹部は皆ヘルメットをかぶっているが、現場の作業員に安全装備は一切与えられておらず、住民たちは「完成までに、あと何人死ぬかわからない」と不安がっているという。

情報筋は負傷者の存在の有無には触れていないが、13人も死者が発生したことを考えると、その数字を上回る負傷者が発生したものと思われる。

事故で負傷した場合、病院で治療を受けられるが、無償医療システムが崩壊しているので、高額の負担を強いられる。また「補償金」はそもそも存在しない。そもそも、白頭山観光鉄道の労働者には賃金が払われていないのだ。

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