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【北朝鮮の核開発】金正恩氏は最終的に何を目指しているのか。不確実な未来を予測する

祖父の金日成、父の金正日、そして金正恩氏へと3代にわたり世襲されてきた王朝国家の目的は、その体制を永続させることにある。核武装したと言っても、アメリカと進んで対決すれば破滅は避けられない。ということはやはり、北朝鮮の核兵器は外部の敵から自らを守るための『防壁』なのだ。

北朝鮮が目指す「普通の国」

そして、金正恩氏はその『防壁』に守られながら、あることを成し遂げたいという『野心』を抱いている。その『野心』とはズバリ言って、北朝鮮を『普通の国』にすることだ。

ただし『普通の国』と言っても、日本を基準にイメージしてはいけない。金正恩氏と、彼の独裁体制を支えるエリートたちには『独特の世界観』があるからだ。その世界観とはどのようなものか。彼らが思い描く『普通の国』とはどういうものか。以下、北朝鮮の現在を読み解きながら、そのイメージに迫ってみたい。

北朝鮮は、正式名称を朝鮮民主主義人民共和国という。面積は日本の1/3弱の120,540km2。人口は約2,500万人で、日本のおよそ1/5、韓国の半分になる。国土は大部分が、日本ではちょうど仙台あたる北緯38度線の以北に位置し、厳冬期の平均気温は首都・平壌で-6℃前後、北部の中朝国境地帯で-15℃~-20℃という寒さだ。

アメリカとの対決の歴史

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民族的には南に位置する韓国と同族で、1910年に日本により併合されるまで、朝鮮半島には国はひとつしかなかった。1945年の日本の第2次世界大戦での敗北を受けて、再び『ひとつの国』として出発すると思われたが、東西冷戦という歴史の激流に飲まれる形で、分断国家としての歩みを始めた。

その後の歴史の詳細にはここでは触れないが、韓国がアメリカと同盟を結んで自由主義陣営に加わる一方、社会主義を標榜する北朝鮮はアメリカと激しく対立してきた。

朝鮮半島の分断を決定的にしたのは、1950年に北朝鮮が南侵し、アメリカ主導の国連軍と戦った朝鮮戦争である。この戦争は1953年に休戦となるが、その後も朝鮮人民軍(北朝鮮軍)とアメリカ軍は戦場で激突している。北朝鮮は1966年から69年まで、空軍部隊をベトナム戦争に派兵し、北ベトナムに加勢してアメリカ軍と戦っていたのだ。

(参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

冷戦崩壊で「崩壊」の危機

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北朝鮮はまた、1973年の第4次中東戦争に際しても、エジプトなどの要請を受けて空軍を派兵している。このとき戦った相手はイスラエル軍だったが、これもまた、東西冷戦の中で米韓同盟に対抗すべく、社会主義陣営や中東・アフリカ諸国からの支援を強固にするために取った行動だった。

(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

しかし1989年に冷戦が終結し、続いてソ連が崩壊すると、北朝鮮が後ろ盾としていた社会主義陣営は消滅してしまった。

東欧や旧ソ連の国々は、民主化や政変により、相次いで資本主義国家に移行した。中国やベトナムもアメリカとの関係を改善して市場経済の導入を進める中、北朝鮮だけが、冷戦期と同じ体制のまま残ってしまう。北朝鮮が『崩壊』する可能性が囁かれ出したのは、この頃からのことだ。

「恐怖政治」で生き延びる

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実際、バーター貿易により有利な条件で食糧を提供してくれていた東欧社会主義圏が消滅してしばらく、北朝鮮経済は衰退の一途を辿る。1990年代半ばには『苦難の行軍』と呼ばれる大飢饉に襲われ、十万人単位の餓死者が出た。北朝鮮が最も『崩壊』に近づいたのは、間違いなくこのときだった。

(参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

冷戦が終結したにもかかわらず北朝鮮だけが変わらなかったのは、社会主義をうたいながらも、実際には金一族の王朝国家と化していたからだ。独裁体制は、海外の情報が国内に流れ込まないよう、極端な統制を敷いて国民の目と耳を塞いだ。また、仮に体制のあり方に疑問を持つ人がいても、決して民主化運動などできないよう、『公開処刑』や『政治犯収容所』などの手段を駆使した『恐怖政治』で民衆を威圧してきたのだ。

とはいえ、北朝鮮とて世界の変化を前に何の手も打たなかったわけではない。

ギリギリの戦争回避

北朝鮮は、1980年代半ばから核兵器開発を本格化させたと見られている。そして1990年2月、アメリカの偵察衛星が、平壌の北方約100キロの地点にある寧辺(ニョンビョン)で使用済み核燃料の再処理工場と思われる施設が稼動していることを確認する。使用済み核燃料から抽出されるプルトニウムは、核爆弾の原料となる。

これ以降、寧辺に対する特別査察を迫るアメリカと拒否する北朝鮮の間で緊張が増し、第2次朝鮮戦争の勃発が現実味を帯びるまでに至った。これが、朝鮮半島の『第1次核危機』である。

しかし1994年、カーター元米大統領が民間人の立場で電撃訪朝して金日成主席と会談し、米朝合意への道筋を付けたことで危機は回避された。

「吸収統一」を恐れる

このとき北朝鮮が核兵器開発に乗り出したのは、旧ソ連などの後ろ盾を失った状態でアメリカと対決するには、核武装のほかに道はないと判断したからのはずだ。世界が北朝鮮の『崩壊』を予想していたその時、北朝鮮の指導者たちはなお、アメリカとの対決に備えていたということになる。

北朝鮮はすでにこの時点で、日米などとの協力で奇跡的な高度経済成長を遂げた韓国に国力で大きく水をあけられていた。核武装で逆転しなければ、いずれ吸収統一されるかもしれないとの危機感も強かったはずだ。

ただ、核問題を巡る交渉を重ねるうちに、北朝鮮とアメリカの距離は一時的にせよ縮まることになった。ここに目を付けたのが、金日成主席の後継者として世襲2代目となった金正日総書記である。

「ジャパンマネー」に食指

北朝鮮の核・ミサイル開発を巡っては、その後も「アメリカとの合意を破り秘密裏に開発しているのではないか」との疑惑が繰り返し再燃する。金正日氏は、そのような疑惑をテコにしてアメリカを交渉の場に引き出し、関係改善につなげようとしたのだ。

アメリカだけではない。北朝鮮は日本との関係改善も目指した。もともと北朝鮮と日本の間には、過去の植民地統治を巡る賠償問題が残っていた。日本との国交正常化にこぎつければ、巨額のジャパンマネーが流れ込む。

また、ライバルの韓国は1990年に旧ソ連と、1992年には中国と国交を結び、北朝鮮を外交的に包囲する形になっていた。この点でも、北朝鮮はアメリカ、そして日本との国交正常化で逆転をねらう必要があった。

拉致問題で膠着

日本と北朝鮮は1990年1月から国交正常化交渉を始めるが、間もなく暗礁に乗り上げる。きっかけとなったのは上述した『第1次核危機』だったが、1994年にアメリカと北朝鮮の間で関係改善に向けた『枠組み合意』(正式には『合意された枠組み文書』)が結ばれて以降も、日朝関係は膠着したままだった。

1990年代半ば、「北朝鮮で横田めぐみさんが目撃されていた」とする情報が伝えられて以降、日本人拉致問題を巡り北朝鮮に対する反感が日本で高まり、国交正常化に向けた環境がまったく整わなくなってしまったのだ。

こうした膠着状態を打開したのが、2002年9月17日の『第1次小泉訪朝』である。日本の首脳として初めて北朝鮮を訪問した小泉純一郎首相が、金正日総書記と会談。ここで、金正日氏が日本人拉致の事実を認めて謝罪したのを受けて、両首脳は「国交正常化を早期に実現させる」ことをうたった『日朝平壌宣言』を発表した。

米大統領の「悪の枢軸」発言

北朝鮮はこのときまで、日本人拉致の事実を頑なに否定していた。金正日氏が立場を翻した理由は第1に、2000年6月に韓国の金大中(キム・デジュン)大統領との間で南北首脳会談を成功させ、同年10月にはオルブライト米国務長官の訪朝を実現させるなどしたことで、日朝国交正常化によりジャパンマネーを獲得する条件が整ったとの判断があったものと思われる。

そして第2に、米ホワイトハウスの主が北朝鮮との対話に前向きだった民主党のクリントン政権から、共和党のブッシュ(ジュニア)政権に替わっていたことがあったようだ。ブッシュ氏は2002年1月29日に行った一般教書演説で、北朝鮮をイラン、イラクとともに「悪の枢軸」と呼んで世界の注目を集めた。

そして案の定、金正日氏のこのような外交戦略はブッシュ政権によって潰される。アメリカは小泉訪朝の直後である2002年10月、北朝鮮が高濃縮ウランによる核兵器開発を秘密裏に進めていた事実を暴露したのだ。

徒労に終わった対話

この後、アメリカと日本、韓国、中国、そしてロシアは北朝鮮との間で6カ国協議を持ち、対話により核兵器開発を断念させるべく努力を重ねるが、その取り組みは結局、徒労に終わった。

途中、北朝鮮が核開発計画を放棄することを条件に、米朝国交正常化や日朝国交正常化に向けた協議を始めるとする『共同文書』で合意されたこともあった。しかし、それも間もなく有名無実化し、6カ国協議は2007年3月に行われた第6回協議を最後に開かれなくなっている。

その後の北朝鮮は、衛星打ち上げロケットと称する『銀河2号』による長距離弾道ミサイルの発射実験(2009年4月5日)や、2回目の核実験(同年5月25日)を強行。2010年には韓国軍の哨戒艦を撃沈し、韓国領である延坪島への砲撃を行うなど、2000年代初めまでの外交攻勢とは打って変わった姿を見せる。

北朝鮮が対話を放棄した理由

かつては日本やアメリカ、韓国などとの関係改善を模索していた北朝鮮は、どうして対話の機会を放棄してしまったのか。その理由はいくつか考えられる。

関係各国が北朝鮮との交渉を通じて得たものは、「徒労感だけ」だと言われる。それと同様に、北朝鮮側もまた、日米との関係改善が遅々として進まず、経済支援を得られない現実に猛烈な徒労感を感じていた可能性が高い。

日本やアメリカのような民主主義国家との交渉では、一定期間内に目的を遂げなければ、それまでとはまったく性格の異なる政権が相手国に誕生してしまい、すべてが振り出しに戻りかねない。クリントン政権からブッシュ政権に替わったアメリカ、金大中と廬武鉉(ノ・ムヒョン)両氏の進歩派政権から、李明博(イ・ミョンバク)氏と朴槿恵(パク・クネ)氏の保守派政権へ移行した韓国が典型と言える。

金正日の焦り

そうしたことが繰り返される中で、金正日氏は時間的な余裕を徐々に失っていった。2008年8月には脳卒中で倒れたとされており、健康を害した晩年には焦りを募らせていたはずだ。

仮に、自分に残された時間をすべてアメリカなどとの対話に費やし、何の成果も得られなければ、後継者に残すものが何もなくなってしまう――金正日氏はそのように考え、核兵器を作ることを優先したのだ。

また、北朝鮮とアメリカの国交正常化が、時間の経過とともに「不可能さ」を増していたことも金正日氏の落胆を誘ったはずだ。

アメリカからの提案

2009年7月、オバマ前政権のクリントン国務長官(当時)は北朝鮮に対し次のような提案を行った。

「完全かつ後戻りできない非核化に同意すれば、米国と関係国は北朝鮮に対してインセンティブ・パッケージを与えるつもりだ。これには(米朝)国交正常化が含まれるだろう」

インセンティブ・パッケージとは、米国が国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いていたものとみられる。

素直に受け止めるなら、北朝鮮にとって悪い提案ではないように思える。

ところが、北朝鮮はこれに乗らなかった。理由はおそらく、人権問題である。

核開発の理由は人権問題

米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律がある。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものだ。

恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずがない。

ちなみに、国連総会は2005年から毎年、北朝鮮に人権状況の改善を促す決議を採択しているが、その共同提案国は欧州連合(EU)と日本である。このような人権問題の追及が、核兵器開発の理由のひとつとなっていることは、北朝鮮自身が認めているものでもある。

(参考記事:北朝鮮「核の暴走」の裏に拷問・強姦・公開処刑

金正日氏はこのような過程を経て、アメリカとの国交正常化は不可能であり、自らを守るためには核武装しかない、との結論に至った。そして2011年12月に金正日氏が死亡すると、金正恩氏はこの結論とともに、核開発計画を父親から引き継いだわけだ。

核・ミサイル実験はいずれ止まる

だから金正恩氏は、核戦力を整備するのに必要なだけ、核実験や弾道ミサイルの発射実験を繰り返すだろう。そこに、交渉の余地はない。

北朝鮮はおそらく、国際社会による制裁下でも必要な実験を行えるよう資材を備蓄しているはずだ。そして、技術やデータの蓄積が十分なレベルに達するか、制裁前に蓄えた資材が底をついたら、一方的に核・ミサイル実験の停止を宣言するだろう。そこで初めて対話に乗り出し、国際社会に制裁解除を迫るものと思われる。中国やロシアの支援があれば、制裁解除を勝ち取ることは夢ではない。

そして、さらに必要とあらば、実験再開と一方的な停止に至るプロセスを繰り返すのだ。

目標は中国・ロシア

そのようにして金正恩氏が目指すのは、冒頭でも述べた通り『普通の国』である。といっても、それは日本や韓国のような国を意味するわけではない。北朝鮮からすれば、日本や韓国はアメリカの「傀儡(かいらい=操り人形)」であり、まともな国ではないのだ。

金正恩氏が目指すのは、イメージ的には中国やロシアが近い。両国とも北朝鮮ほどひどくはないにせよ、人権侵害が横行し、言論の自由はないがしろにされ、民主主義的とは言えない状態にある。それらの問題について欧米からとやかく言われることはあっても、国際社会の有力メンバーとして振る舞っている。

何より、ロシアのクリミア併合のような無茶をやっても、イラクのフセイン政権やリビアのカダフィ政権のように、アメリカの介入でつぶされる心配をしていない。

「若さ」を武器に

さらに世界を見渡せば、国民の人権より体制の安寧が優先されているような、権威主義的な国家は少なくない。北朝鮮が目指すのは、そういった類の『普通の国』だ。

金正恩氏は核兵器で国の守りを固めながら、国際社会から見過ごしてもらえる程度に、徐々に人権問題の改善に取り組むかもしれない。実際、そのような動きが、ごくわずかながらすでに出ている。

さらにその次の段階で金正恩氏は、何らかの形で韓国を手中に収めようとするかもしれない。直接、アメリカや日本と関係改善できなくとも、韓国を従えることができれば、全世界へのアクセスが開かれたも同然だ。

もちろん、これは相当に遠大な構想である。だが、1984年1月8日生まれの金正恩氏には、若さという武器がある。達成できるかどうかは別としても、金正恩氏が相当な長期間にわたる戦略をもって核兵器開発に当たっているのは、間違いないと言えるだろう。

北朝鮮が日本を狙い始めた理由

日本では最近「なぜ北朝鮮は日本をターゲットにし始めたのか」についてよく議論・分析しているが、その真意をきちんと把握するには中国の本心や北朝鮮の建国時の姿勢を十分に理解しなければなりません。

北朝鮮が日本に向けてミサイルを飛ばす理由は以下のことが考えられます。

地理的な関係

通常ミサイルの発射実験は着地点を海に設定しています。そうなると北朝鮮から見た海は、日本海しかありません。そのため北朝鮮は日本海側、その先にある日本に向けてミサイルを飛ばしている。

日本ならば直接的な報復の可能性が低い

日本は核を持たない国、戦争をしない専守防衛の国としてアピールしてきている。そのため、北朝鮮は日本ならミサイルで攻撃しても直接報復としてミサイルを撃ってくると考えにくいと思っている可能性は高い。

政権からの不満反らしの話題性作りのため

政権からの不満反らしの話題性作りのために、ミサイルを飛ばさせているという説もある。2017年7月は、狙ったかのように都議選で自民党が大敗した次の日にミサイル発射があったが、アメリカも日本も北朝鮮と情報交換ができない状態ですので、偶然の可能性が高い。

中国との関係性

中国は、北朝鮮と中朝軍事同盟を結んでいるが、北朝鮮がアメリカ領を先に攻撃し、アメリカが報復として北朝鮮を攻撃した場合は中国は中立を保つということを表明している。つまり北朝鮮が先に攻撃した場合は、中朝軍事同盟を無視するという内容だ。これは、北朝鮮に向けた厳しい内容のようですが、実は「アメリカ領」という言葉で濁しており、

「北朝鮮が日本を先制攻撃して米軍による報復攻撃をした場合、中国は中立を保つ」

とは明記されていないという点が肝なのだ。中国はあくまで反日国家であり、同じ反日国家(北朝鮮)を攻撃するのは、尖閣を奪うためにも不利となり躊躇が生まれる。そのことを、北朝鮮もわかっているため、結果的に北朝鮮が日本を攻撃することこそが中国に対する最大の保身となっているのだ。

関連:北朝鮮メディア、核戦争「日本が最初の打撃対象」…河野外相を非難

 

北朝鮮と日本の関係性

そもそも日本と北朝鮮の現在の関係はどうなっているのか?

北朝鮮と韓国が起こした「朝鮮戦争」は、休戦状態にあるものの、戦争自体に勝敗がついておらず、終戦してはいない。そのため、北朝鮮の核実験やミサイル発射は、朝鮮戦争の延長線上とも考えらる。そして先に述べた理由から今も日本方向へミサイルが飛ばされている。

また北朝鮮と日本の関係で外せないのは「拉致問題」だ。

関連:北朝鮮「拉致問題」解決のための「裏取引のススメ」

平成14年9月に北朝鮮は日本人を拉致していたことを認めている。しかし、その説明は「5名生存、8名死亡、2名入境せず」という簡易なもので、生存5名以外の被害者の安否については、いまだに北朝鮮からの説明はないという状況だ。

北朝鮮が、日本人を拉致した理由は明確になっていないが、北朝鮮から韓国にスパイを送り込むために、日本人を拉致し北朝鮮のスパイをその日本人になりすまさせたり、拉致した日本人に日本の習慣や文化などを北朝鮮に教えさせたりするためという説がある。

日本政府は、このような状態で国交の正常化を進めることはできないとし、北朝鮮に誠実な対応を求め続けているが、その後も北朝鮮が拉致問題に対して具体的な対応・行動をとらない状況が続いたため、日本は輸入禁止などの対北朝鮮措置をとった。さらに、拉致問題だけに留まらず、ミサイル発射や地下核実験の実施など軍事行動を繰り返していることを受け、日本は、現在実施している措置の継続及び輸出禁止などの追加措置を行っていまる。

結論、北朝鮮と日本との関係は今も良くないシビアな状況が続いている。

関連:日本政府が対北朝鮮で追加制裁…金融機関などの資産凍結

 

北朝鮮とアメリカの関係性

アメリカと北朝鮮の関係は良好ではない。これまでも、クリントン、ブッシュ、オバマは北朝鮮と外交交渉を続けてきたが、求めいていた成果を出すことができなかった。金正恩は気が狂ったような人間で、正気と思えない人間と交渉をしても無駄だと彼らは考えていいる。交渉が難しいとなった以上、トランプ大統領含むアメリカ国民の多くも、戦争のみが解決策と考えている者が多いようだ。

また中国も北朝鮮における制裁履行の鍵を握っており、その中国に対してトランプ大統領は、中国が北朝鮮により強い影響力を行使するように圧力をかけているが、そういった圧力をかけられても中国が北朝鮮問題に本気で取り組んでいる姿勢は見えないため、こちらも、外交交渉による解決は難しく、主として核施設を狙った空爆、米軍の派兵、先制核攻撃など軍事的な選択が有効だと考えられている。

また北朝鮮の隣国韓国と同盟を結んでおくことも北朝鮮に圧力をかける上では重要で、トランプ大統領は、韓国の文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領とも首脳会談を行い、主に北朝鮮の核問題について話し合い、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が必要だと認識をすり合わせており、韓国の軍事力強化に向け、米国にいっそうの支援を求めていく姿勢を鮮明にした。

結論、トランプ大統領率いるアメリカは、北朝鮮問題を外交交渉で解決するという方法には期待しておらず、日本がどうなるかは度外視で、今後軍事的な対応を取る可能性は高いようだ。

 

アメリカと中国が北朝鮮を攻撃する可能性

トランプ大統領が国連総会で金正恩を「ロケットマン」と呼び、ツイッターで「ちっぽけなロケットマン」と呟いたことからも、米韓による北朝鮮への武力攻撃の可能性は高まってきているかもしれない。

関連:「金正恩はチビでデブ」わざとツイートしたトランプ氏に、北朝鮮の反撃は?

トランプ政権誕生後、中国は「双暫停」と「対話」を求めながらも、むしろトランプの方針を「やや協力的に」見守るという姿勢を貫いている。その理由は、米中関係の親密度を踏み台にして、世界のトップに上り詰めようという野心が習近平にはあるからだ。そのため中国はアメリカとは絶対に敵対しない。

こういった背景がある中で、いま中国が取れる方法は何か。

それは、アメリカが北朝鮮へ武力攻撃する前に、中国が北朝鮮へ武力攻撃をする、というシナリオだ。重要なのは「アメリカと敵対せずに遂行する」ということである。アメリカと協力しながら、軍事力をすみ分けて「中国独自の軍事攻撃」を北朝鮮に対してするという方法である。

習近平は、行事がある日毎にミサイルを発射するなど金正恩(委員長)の度重なる無礼と屈辱的手法に、いつ堪忍袋の緒が切れてもおかしくない状況にある。そのため、武力攻撃も視野に入れているトランプに、「いざとなったら」協力的に武力を断行し、北朝鮮を制圧した時の中国の功績を確保したいと考えている訳だ。

この「米中のすみ分け」という考え方は、トランプ以外のこれまでのアメリカの政権では絶対にあり得なかったシナリオだ。それが実現された理由は、トランプが個人的に習近平を気に入っているからである。

もし北朝鮮が中国に対して、中朝軍事同盟を理由とし、北朝鮮側に中国を立たせて米韓側(連合国側)と戦わせようとでもするものならば、それは中国にとって最悪のシナリオである。その理由は、現在の中国の軍事力では、絶対に連合軍(主に米軍)に勝てないからだ。そして敗北すれば、中国共産党による一党支配体制は必ず崩壊してしまう。これこそ中国が最も恐れている事態である。

なので、

・アメリカが武力攻撃を仕掛ける動き

・北朝鮮が武力攻撃を仕掛ける動き

を見せ始めれば見せ始めるほど、中国が動き出す可能性は高まるかもしれない。

 

戦争勃発の可能性は?戦争が起きたら日本はどうなる?

戦争を始める国の特徴

①独裁国家である

②軍事国家

③構造的暴力がある

③民族主義である

⑤戦争コストがかからない(軍事資金が多く、人も多い)

といった五つの要素がそろっていることが多いそうだ。

トップが素晴らしければ、国民は毎日の生活を中心に考えるので、政治に疑問を持つことはほとんどない。生活が不自由であったり、不満があったり、納得の行かないことが起きた際に、政治に対して不満が出るのだ。近代国家で、民主主義以外の独裁国家は戦争に傾く可能性が高い。

「北朝鮮と戦争するのは、絶対に止めていただきたい!有事になれば、日本に甚大な被害が及ぶことになる」

これは安倍首相が、トランプ米大統領との電話会談で述べた内容だ。トランプ大統領と金正恩政権は、互いに挑発をエスカレートさせており、早ければ、この秋冬にも開戦となるのではと危惧されている状況だった。

ところが、トランプ大統領が安倍首相に告げたのは、まったく別の内容だった。

「私は、金正恩と話し合うことにした。マティス(国防長官)がいろいろ理由をつけて、『いまは戦争準備が整っていません』と言うから、そのアドバイスに従うことにしたのだ。金正恩は、『ICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃ってアメリカのクリスマスを台無しにする』もし金正恩が、核かミサイルのどちらか一方でも放棄する決断をしたなら、北朝鮮と平和協定を結ぶ。そうなった時には、同盟国である日本にも、全面的に協力してほしい」

北朝鮮は、今年のクリスマスに核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)を配備しようとしているそうだ。そのためそれまでをリミットとし、それまでは金正恩と話し合うというのだ。

 

もし戦争になったら日本では何が起こるか

日本国内でのテロ
東京を始めとする大都市の繁華街やイベント会場、新幹線の車内などで、北朝鮮に関わっているテロリストが爆破テロを起こす可能性がある。これらはヨーロッパなどでよく見られる傾向だ。

在日米軍への攻撃
日本政府の意向を考慮することなく在日米軍を参戦させる可能性が高く、北朝鮮攻撃の前線基地となる三沢基地、嘉手納基地、岩国基地とその周辺が、北朝鮮のミサイルの標的となる可能性が高くなる。

在韓邦人の被害
北朝鮮軍の韓国への攻撃によって、約3万8000人の在韓邦人が危険にさらされる可能性があるにもかかわらず、文在寅政権は自衛隊の韓国領内進入を「断固拒否」しており、在韓米軍も自国民以外の救出には消極的な姿勢を示しており、守ってくれるものがない。

中国軍の南下
米朝開戦になれば、中国人民解放軍が中朝国境の鴨緑江を突破して南下してくる可能性は非常に高い。そうなってしまうと尖閣諸島、九州北部への手厚い防衛が必要となる。

 

北朝鮮のミサイルから日本を守るには

いくつかのパターンに分けて日本が取るべき対応について考えてみる。

ミサイルが発射される前に破壊する

発射前に破壊するという発想で考えてみる。

日本は、専守防衛(武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使する)という法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をとっており、先制攻撃を否定しているが、「自衛のための必要最小限度」の範囲内であれば、敵基地への先制攻撃は認められる。また、被害が出るまで何もできないわけではなく、敵が武力攻撃に着手した段階から自衛は認められるので、攻撃されることが明らかな敵兵力が行動し始めれば、反撃することはできる。
弾道ミサイルの場合、日本を目標にしたミサイルが発射準備に入れば、その時点で自衛が認められるということだ。そのためポイントは、敵のミサイルが発射態勢にあることをどう察知し、日本狙いだということを誰がどのように判断するか、そして、そのミサイルを破壊すれば終わるのか、という点となる。
そう考えると、地下に格納されたミサイル位置を把握し、破壊することは難しく、1つを破壊しても残存したミサイルによる報復攻撃が来るのは間違いがない。そうなれば、今度は日本が壊滅してしまうだろう。

 

日本はミサイル発射を防げないこと前提としたほうが良い

前述の理由から、ミサイルは防げないことを前提にして考えてみる。そうなると、「報復力」にほかならない。
安倍晋三首相は、
「北朝鮮のミサイル発射の際、共同で守るのは米国だけだ。撃ち漏らした際に報復するのも米国だけだ。トランプ大統領が必ず報復するとの認識を(北朝鮮に)持ってもらわないと冒険主義に走る危険性が出てくる。日本としては、トランプ大統領と親密な関係を作り世界に示す選択肢しかない」
と話している。これはつまり、ミサイル攻撃をすれば報復する「報復力による抑止」の考え方である。防げない攻撃をさせないために、仕返しが来るという脅しによって攻撃をやめさせるというものだ。そして、その報復力を担うのは、日本ではなくアメリカだ、と言っている。つまり日本政府は、アメリカの攻撃力に頼ろうとしている。
ちなみに、トランプ大統領も「stand behind Japan」、つまり、アメリカは、日本の「背後」にいると報復の立場で話しており、安倍首相の考えと一致している。
アメリカに、北朝鮮を壊滅させる能力があること間違いはないだろう。北朝鮮も、それを理解し、同様にアメリカを抑止するために核・ミサイルを開発している。この問題は、基本的に、アメリカと北朝鮮の戦いなのだ。

日本がアメリカの報復力に頼ることの問題

問題1:アメリカは日本だけを守るわけではない

アメリカは、日本だけでなく、韓国、そして自国の兵力を守らなければならないため、常に100%日本の味方であること=日本への攻撃に対して常に100%報復する、ということではない。それらのバランスを見て優先度が変わってくる。

問題2:北朝鮮を崩壊してしまうと新たな問題が現れる

アメリカの報復力によって北朝鮮の「体制」を崩壊させてしまうと、北朝鮮はたちまち破綻国家となり、2000万の人口をどうするかという問題が現れる。アメリカが北朝鮮との戦争に勝つことは難しくないが、その後の方が頭を悩ます大問題となる可能性もあるのだ。それでもあえてアメリカが報復するのかはわからない。

問題3:報復力が行使されるのは「撃ち漏らしたとき」

アメリカの報復力が行使される時は、あくまで「撃ち漏らしたとき」であり、撃ち漏らしが起きたときには、少なくとも日本にミサイルが何発か落ちているということだ。つまり、日本は、少なくとも第一撃に耐える覚悟と態勢がなければならない。つまり、たとえアメリカの報復力があるとはいえ、無傷ではいられないということだ。

問題4:北朝鮮が日本を狙う理由は米軍の存在

北朝鮮は、攻撃目標を在日米軍基地だと発言している。つまり北朝鮮が日本に向けてミサイルを撃つ動機は、米軍がいるからということだ。抑止力となっている米軍がいることが、逆に北朝鮮の日本攻撃の動機となっているという矛盾がある。

問題5:抑止戦略は「攻撃してこないだろう」という確率論

抑止という戦略は、あくまで「抑止が効いている限り、北朝鮮は攻撃しない」だろうという仮定であり、ある意味確率論である。もし北朝鮮が、敗北が確定的でも一撃を与えるというような判断をすれば、抑止は全く効力をなさないのだ。あまりにも、強く抑止し続ければ、逆に危険性を高めるかもしれない。

以上のような問題が考えられる。

日本の弱みは、戦争の被害に対する耐久性がないことだ。そのため「アメリカの報復が抑止になる」というのは、先制攻撃を行うよりもはるかに戦略的思考ではある。しかし、それには限界がある。報復力によって抑止するだけではかえって攻撃の動機を与える可能性があるのであれば、攻撃の動機となる恐怖を緩和することも重要ではないだろうか。

例えば、北朝鮮の体制を外部から破壊されないという安心・安全の供与、あるいは核を保有しない、使用しないことに対する報酬を与える「報償による抑止」という手法がそれにあたる。外部から破壊しなくとも、北朝鮮はいずれ内部崩壊する可能性が高いので、それまで「暴発させない」ということを目標とするという考えも一理あると思う。
トランプだけでなく、安倍首相にもぜひ、北朝鮮を電撃訪問し、コミュニケーションをとって欲しい。そのような行動を続けることで、北朝鮮の脅威は軽減し、拉致問題解決も早まると思われる、国民の支持率も右肩上がりになるだろう。
北朝鮮を訪問することは、核・ミサイルを容認となると警戒しているが、もはや会わないている方が、北朝鮮の核・ミサイル技術向上を促しているのではないだろうか。
日本国民を救うには、アメリカの助けが必要不可欠であるのは間違いないが、日本はもっと自立した戦略も考えていかなければならないのではと思う。

北朝鮮は今後どのような動きを取るのか

現段階でアメリカが北朝鮮を攻撃するメリットは全くない。

仮にアメリカから仕掛けた時に、北朝鮮が日本の電力を狙ってミサイルや核爆弾落としたら、火力・水力・原子力などあらゆる電力がストップし、経済活動が終了し、アメリカにとっても大問題となる。また、電力だけにとどまらず、日本製品の生産もできなくなり、世界の経済が麻痺してしまう。

そして円の価値も下がり、輸入品の価格も高騰し、物も輸入できないという最悪の事態が想定される。北朝鮮のミサイルや核兵器も問題ですが、それらを奪われる方が、さらに大問題だ。

日本の経済が止まると、世界中で困ったことになる。だからアメリカから攻撃することはないだろうとされてきましたが、北朝鮮でICBM(長距離弾道ミサイル)ができ始め、核の小型化も成功しつつあることで、この状況が変わる可能性も出てきました。

 北朝鮮が核の小型化に成功するとアメリカの直接的な脅威となる。当然、それはアメリカだけならず中国も同様だ。

そうなると、アメリカもただ見守っているだけではなく自ら動き出すしかなくなってくるのだ。そこで考えられる選択しは、以下の4つだ。

①戦争 

これは可能性が低い選択肢。とにかく誰も得をしない。先程も述べたとおり、日本の中枢が攻撃されると、経済的影響は日本だけで済まないのは明白。

②石油ストップ

これを実行するにはロシアの協力が必要ですが、ロシアは実害がないので、協力はしないはずです。むしろロシアに矛先が向かったら厄介なので、あまり大きな決断はできないでしょう。よほどメリットがない限り動かないと推測できる。

③現状維持

現状を維持する場合、今後のアメリカのメンツと他国への影響を考えないといけない。弾道ミサイルがアメリカまで射程圏内に入ることがわかったため、北朝鮮は、間違ってアメリカの領海内に落とすようなことがないようミサイルを打つのを止めている。

北朝鮮の本来の目的は、アメリカとの直接対話であり、それを達成できれば、金正恩は北朝鮮国内での評価がさらワンステージあがる。父・金正日ができなかった偉業が達成されるからだ。

一方でアメリカも核の脅威に長く怯えているわけにもいかない。そんな姿勢を見せれば、「核があればアメリカは動けないのか?」中東、南米の諸国になめられてしまっては困るからだ。だからこそ、北朝鮮の核開発を黙って容認し続けるわけにもいかないのだ。

つまり、北朝鮮がICBM弾道ミサイルをのより高度な開発を行い、核兵器を小型化しようものなら、それはアメリカとっては緊急事態なのだ。

そのため、アメリカは、北朝鮮の小型化を成功させないよう、経済的に封じ込めて兵糧攻めをしつつ、次の一手を考えている。

④暗殺させるか亡命させる

北朝鮮にはアメリカへの内通者は確実にいると思われる。だからこそ、北朝鮮も総書記の側近を無作為に殺害している可能性は高い。その内通者を通じてこの作戦を実行し、一気に援助物資を送り、親米・親中の国家を作りたいのではと思われます。

 

結局北朝鮮は、何もしなければこのままICBM(長距離弾道ミサイル)開発と、核の小型化を進め続け、完成させるだろう。あくまで、目的は直接対話なので、このまま優位に立ち続けられるよう軍事力を強化し、アメリカが対話を持ちかけてくるのを待っているのではと思われる。