国は軍や首都・平壌の住民への食糧配給分を確保しつつ、工場や農場に対しては原材料や営農資材を自主裁量でまかなえるまでの数年間、安定して供給しなければならない。

しかし、北朝鮮経済にはその余力が無い。デイリーNKジャパン編集部が11月にインタビューした、脱北して間もない元農場幹部は「改革はすべて建前だけで、農民の生活は以前と変わらない。自分で土地を耕すなどして必死に生き延びている」と証言している。

工業部門も原材料の確保すらままならない。例えばマンションを建設する際には「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層から原材料を借金で購入し、完成したマンションの分譲権を与える方式でやりくりしている。

(参考記事:空から汚物が…北朝鮮でマンション「高層階」が不人気なワケ

だが、ここで大事なのは、金正恩氏の経済政策が建前にせよ「自由放任」を基調としている点だ。