靴底はゴム製であり、ゴムを加工するには石炭の火で加熱する必要がある。平安南道で採掘される石炭は熱量が少なくとも5500カロリーに達し、ゴム加工に使えるが、他の地方の石炭は熱量が低く過ぎるのだ。
「それなら平安南道から石炭を取り寄せればいい」と思う向きもいるだろうが、道路網が発達していない北朝鮮では、重量のある石炭を輸送するだけで値段が数倍に跳ね上がってしまう。
そこで、民間の靴工場に投資するトンジュ(金主、新興富裕層)は、地元ではなく平安南道の靴製造工場に投資し、完成した靴を地元に運んで売りさばく方がより多く儲けられるわけだ。
国家は堕ち、民間が勃興
平安南道の中でも、特に製造業が発達しているのが、平壌から北東に50キロ離れた順川(スンチョン)だ。