「草の根企業」による靴の製造は、原材料の供給、裁断、靴底、靴ひもの製造などの分業制になっている。まず原材料は、新義州の行商人が中国から輸入し、各地の工場に持ち込む。行商人と言っても、無闇に売り歩くのではなく、決められたルート、つまり原材料の供給ネットワークに従って納入している。
各パーツを作る工場は、民家や国営工場の空き倉庫を借りた小規模なものが一般的だ。家族総出で作業を行う例が多いのだが、少し規模が大きくなると従業員を雇うようになる。
工場には、女子高生の工員も多い。なぜか彼女らに人気があるのは、靴ひもを通す穴の金具を作る工場での仕事だ。アルミや亜鉛の板から金具を打ち出す仕事で、給料は1日にコメ1キロ、現金にすると5000北朝鮮ウォン(約75円)になる。一方、靴底の製造は成人女性に人気の職種だ。危険を伴う工程なので、給料は倍になる。
トンジュが投資
このような靴の製造工場は平壌の北にある平安南道(ピョンアンナムド)に集積しているが、それには訳がある。