核実験や長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は新たな制裁を決議した。その内容は「過去最強」とも言われるが、国連加盟国の履行には早くも疑問が持たれている。

制裁の履行状況を監視する国連の専門家パネルの最新報告書によれば、2015年に自国の取り組みを国連側に申告したのは加盟国193のうち42カ国。国連安保理は2006年の最初の核実験以降、4回にわたり対北朝鮮制裁を決議してきたが、2006年以降、一度も報告したことのない国は90カ国に及ぶという。

その中には、北朝鮮との軍事協力を秘密裏に維持するため、確信犯的に制裁決議を無視している国も相当数ある。例えば、公安調査庁は2015年12月に発表した『内外情勢の回顧と展望』に次のようなコラムを掲載。北朝鮮とイランが核・ミサイル分野での協力関係を継続している可能性を指摘した。

上記コラムの全文は次のとおり。

北朝鮮・イラン間の核・ミサイル分野における協力関係に関する指摘

北朝鮮とイランの間では、1980年代のイラン・イラク戦争の際、北朝鮮がイランにミサイル関連技術を提供したのをきっかけに、様々な関連資機材・技術の相互移転が行われてきたとされる。また、核開発に関して、実験データの移転や技術者の相互派遣など、両国間での協力関係の存在が指摘されている。

このような北朝鮮・イラン間の協力関係は、現在、ミサイル本体の提供といったハード面より、技術や実験データといったソフト面での協力や共同開発に重点が置かれているとされるほか、第3国を経由してミサイル技術を交換するなど移転手法が巧妙化しているとの指摘があり、最近においても、両国間の協力関係が継続している旨の報道が散見される。

―北朝鮮・イランの協力に関する平成27年(2015年)の主な報道―

○ 数百人の北朝鮮の核及びミサイル専門家がイランに滞在(2月20日付けクリスチャン・サイエンス・モニター)

○ 平成26年(2014年)9月以降、北朝鮮からイランに向け、核弾頭運搬能力を有する長射程ミサイルシステム建造に使用可能なエンジンを含め、少なくとも2回以上のミサイル部品の海上輸送が確認(4月15日付けワシントン・フリー・ビーコン)

○ 平成27年(2015年)4月、核、核弾頭及び弾道ミサイルの専門家からなる北朝鮮の代表団がイランを訪問。これら北朝鮮の専門家は、テヘランに所在する軍事施設に滞在し、イラン側の研究機関と接触(イラン国民抵抗評議会ウェブサイト)

○ 北朝鮮からイランに向け、分解した弾道ミサイルのエンジン10数基を供給する計画が進行している模様(6月26日付け共同通信)

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