90年代の中国は外貨規制が厳しく、地域ごとに闇レートに大きな差があった。供給量の多い大都市では安く、地方では高かった。同様の現象が北朝鮮でも起きている。
例えば、10月末現在、平壌では1ドルが5400北朝鮮ウォンだが、中朝国境沿いの新義州(シニジュ)では5300北朝鮮ウォン、恵山(ヘサン)では5100北朝鮮ウォンと差が大きくなる。
この地域レート差に目をつけた鉄道警察が、組織的な外為取引を行っているという。平壌在住で現在は中朝国境地帯に滞在中のデイリーNK内部情報筋が、その実体みを詳しく説明した。
平均年収4年分の利ざや
地域差を利用した組織的な外為取引の中心となるのは、平壌乗車保安署(鉄道警察)の署長、政治部長などだ。まず、優秀な保安員を選抜し、2人1組で外貨両替チームを作る。次にトンジュ(金主、新興富裕層)や平壌の両替商から資金を預かる。