北朝鮮の新興富裕層である「トンジュ(金主)」は、鉱山経営で財を築き豪邸を建てたり家政婦を雇ったりと資本主義国の大金持ち顔負けの生活ぶりを送っている。その一方で、日本で言うところの「町工場の経営者」クラスのトンジュも少なくない。

中小クラスのトンジュは、家族、親戚から資金と労働力を総動員して菓子、靴、タバコなどの製造を行って商売をする。こうした家内工業では、当然、出資額が多い工場主の息子や娘が社長になるケースが多い。社長は予算の管理と販路開拓を主な仕事としながら、、親は現場での生産工程を管理するのが一般的だ。

ただし、家族経営だけに利益の分け前を巡り親子間でトラブル、骨肉の争いが起きるケースが増えていると平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

「月末になると社長は従業員に給料を支払い、両親と利益を山分けするが、利益から食費を天引きするかしないかで『親子げんか』に発展することが珍しくない。この手の親子げんかは、毎月末になると街のどこかで必ず見かけるが、その原因は、世代ごとに経済観念が異なっているからだ」

北朝鮮の20代から30代は、損得勘定がシビアで、たとえ親と言えども食費は給料から天引きするのが当たり前だと考える。これに対し、年長者は、「親から食費を取るのは不道徳で親不孝だ」考える。こうした考え方の食い違いから以下のような口げんかが起こる。

親:「いくらカネに目が眩んだからって親から飯代まで取るのか、この資本主義者め!」

子供:「商売は道徳でやるんじゃねーよ!数字でやるもんなんだよ!ちょっとはマーケットのことを知れよ!」

こんな光景をしょっちゅう目にした近所の住民はあきれ顔で語るという。

「家族で商売なんかするもんじゃないね。きちんと給料を払って他人を雇った方が市場の原理に叶ってるし、けんかもしなくていい」

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