北朝鮮では、個人が個人を雇うことは本来なら違法行為だ。しかし、トンジュと呼ばれる新興富裕層たちは大々的に人を雇い入れて企業経営に乗り出しているが、なかには家政婦を雇うトンジュもいる。

平壌のお茶屋の女性店員 ©Matt Paish

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、平壌や地方都市のトンジュたちが、家政婦を雇うことがは珍しくないと伝える。雇うのは10代の女学生から50代の中年女性など幅は広いが、礼儀正しくきれいな女性が人気だ。

家政婦は、食事の準備から掃除、洗濯、個人耕作地の管理に至るまでありとあらゆる家庭内の仕事をこなす。家政婦を雇うことで、変なウワサが立たないように、トンジュたちは「遠い親戚の娘」「経済的に苦しい友人の娘」など誤魔化しながら周辺の家には紹介する。

また、地域管轄の保安員(警察官)にも、家政婦を雇うことを賄賂を払って届け出る。

家政婦の月給の相場は月200中国元(約4000円、28万北朝鮮ウォン)と、一般の工場労働者の平均月収3000ウォンの約90倍以上だ。熱心な仕事ぶりが認められれば、10~20元のチップまでもらえる。20元はコメ5キロを買える額であり、熱心に仕事をする女性も多い。

勤務形態だが、住み込みが一般的で家に帰れるのは月に1~2回。しかし、トンジュの家で仕事をすれば、美味しい食事や古着などももらえる。好条件が揃った「家政婦業」は、商才も技術も資金がなくても、細やかな配慮ができる女性の間では、確実に儲かる職業として脚光を浴びている。しかし、仕事自体は決して楽ではない。

毎日、市場で新鮮な食材を手に入れて、雇用主の家族の好みに合わせて美味しい料理を作る。下着や靴下まで丁寧に手洗いするなど、きめ細やかな仕事が求められる。

家政婦業の人気ぶりに、「下々の者を搾取する地主の復活だ」と否定的に見る住民がいる一方で、「家政婦の仕事で食べていけるんだから、それはそれでいい」という意見もある。

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