北朝鮮では、土地は国家の所有であり売買が禁止されている。しかし、一部の農場が住宅用の土地として売り払われていることがわかった。

北朝鮮の地方のモデル住宅
北朝鮮の地方のモデル住宅

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、協同農場の幹部たちが、外貨稼ぎ企業の社長から数千ドルの賄賂を受け取り、協同農場の土地用途を「非農耕地」に書き換えて売り払うビジネスが活発化しているという。

平安南道では、土地300坪が1000ドルが相場で、宅地はトンジュ(金主、新興富裕層)や外貨稼ぎ企業の職員が購入している。1000ドルの内訳は、大まかに協同農場管理委員長に600ドル、作業班長に200ドル、道の国土監督局の幹部に200ドルだ。

土地の取得は次のような流れで行われる。

農場の管理委員長と作業班長は300坪の農地を、「農業生産ができない非農耕地」として国土監督局に報告。すでに賄賂を掴まされている国土監督局の幹部は、数日後に「用途変更を承認」という流れだ。

国からの住宅支給が滞っていることから、仮にこの手口が発覚しても大目に見てもらい、大事にはならないという。

元々、北朝鮮では土地と住宅は国有で、個人に貸し出す形を取っていたが、このように土地の使用権の売買は、かなり以前から活性化しつつある。

平安南道では、数百ものの会社が中朝貿易で外貨を稼いでいるが、富と人脈を得た会社社長たちは、都市周辺の農村にゆったりとした高級住宅を建てている。

北朝鮮の農村といえば、貧しいというイメージがあるが、トンジュたちが、農村に住むメリットは広い土地以外にもあった。

農村では、都市と比べて保衛部の監視が緩く、富の蓄積に対する周辺住民の視線や不安感も解消できる。さらに資産としても利用できる。商売で損失が出た場合、いざとなれば住宅を売り払って現金化する。こうしたメリットがあることから、農村に土地を持とうとするトンジュが増えている。まさに、「不動産ブーム」だ。

ただし、賄賂を使って土地を購入するトンジュたちを、農村の人々は冷ややかな目で見ているという。

黄海に面した村の農場には、豪華な一戸建てや二世帯住宅が見受けられるが、国家から支給された住宅とは、明らかにグレードが全く違う。農村の人々はそんな家を見ながら、次のように皮肉る。

「不正を働いている両班(ヤンバン、貴族)の家だ」

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