北朝鮮で「田植え戦闘」が始まり、一般住民にも「農村支援戦闘」が呼びかけられているが、当の農民たちは迷惑がっていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

平安南道南浦市江西区域にある青山協同農場での「田植え戦闘」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)
平安南道南浦市江西区域にある青山協同農場での「田植え戦闘」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

咸鏡北道(ハムギョンブクト)や両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、「今年の種まきは時期を早め、ジャガイモやトウモロコシの植え付けは既に終了済み。次に取りかかる農作業は最も辛い「田植え」や「草刈り」。次の農作業に向けて中央は各協同農場に支援者を割り当てているが、農繁期にもかかわらず、学生や都市住民の「農村支援者」は招かざる客だという。いったいなぜか。

北朝鮮当局は、地域の事情や条件を全く考慮せずに各協同農場に適当に人員を割り当てるのみ。この無責任なやり方が、現場の農民たちの不満を買っている。さらに、やって来る支援者たちは農業の知識もスキルもなく、現場からは不満の声があがる。

「すでに『圃田担当制』で個人に田畑を割り当てられているが、事情を知らない支援者たちの『素人農業』で無茶苦茶にされる。また、支援者たちの宿泊費、飲食費も負担だ。中央は、二重、三重に農民を搾取している」(内部情報筋)

また、当局は支援者たちの配分として収穫物を献上させることから、自分たちだけで農作業をする方がよっぽどマシだとボヤく農民たちもいる。

両江道の情報筋によると「種まき、植え付けが終われば支援者たちが出来る農作業はない。しかし、中央が6月20日までを支援期間と定めているので帰るわけにもいかず、暇をもてあましている。まさに『穀潰しだ』」

作業があれば農民たちも支援者を家に泊める。しかし、暇をもてあます彼らの面倒を見るほどの余裕はないため体よく家から追い出す。行き場を失った支援者たちは野宿しているという。

故金日成氏と正日氏が提唱した「チュチェ農法」は、地域の気候、特性などをまったく考慮しない非科学的な農法だが、「偉大な首領様と将軍様」が考え出した農法だけに、誰も否定したり修正はできず、毎年同じ失敗を繰り返すという構造的問題を抱えているのが北朝鮮の農業事情だ。

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