「農業にすべての力量を総動員、総集中しよう!」そんなスローガンのもと、今年も40日間に及ぶ「田植え戦闘」が始まった。この時期、北朝鮮の初級中学校3年生(中3)以上のすべての住民が「農村支援戦闘」に動員がかけられる。

この時期にテレビでよく流される標語「皆立ち上がり田植えを適期に質良く行おう」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)
この時期にテレビでよく流される標語「皆立ち上がり田植えを適期に質良く行おう」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

北朝鮮は、毎年春と秋には「農村支援総動員期間」を設けて、全国民を農作業に動員する。特に今年は労働党創建70周年を記念する年なので、「党創建記念日を穀物増産の努力的成果でまばゆく飾り立てよう」とのスローガンで支援者の思想武装と勤勉な労働の重要性を強調している。

では、「農村支援戦闘」はどのようなものなのだろうか。

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平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、農村支援戦闘は今月20日から6月末まで行われ、初級中学校3年生から全国の党や行政機関のイルクン、工場企業書の従業員、専業主婦まではすべて動員される。

平安南道南浦市江西区域にある青山里協同農場での「田植え戦闘」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)
平安南道南浦市江西区域にある青山里協同農場での「田植え戦闘」(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

学生は、食糧と洗面道具などを携えて道内の協同農場に40日間泊まりこみで働く。田植えや穀物の種まき、草取りなどの日々が続く。

一方、工場・企業所の従業員や主婦は、近郊の農場に出勤する形で、毎日農作業を手伝う。

地方当局の指示によって、小学生まで動員させられる地域もある。役人たちは、専業主婦に、「飯食ってるやつは全員動員の対象」とハッパをかける。

この時期、鉄道は臨時列車まで運行して農村支援者たちを都市から農村に運ぶことから駅前は農村に向かう人で一杯だ。農村へ行く子どもを持つ親は「田植え戦闘」期間中の、子どもの食糧や生活必需品の準備で頭を痛い。一方、「田植え戦闘」の関連商品を販売する商人たちは、稼ぎ時だ。

しかし、これだけ国民を総動員しているにもかかわらず、毎年食糧が不足するのはなぜか。

動員された住民は、「自分たちの農地」という意識がないため、どうしても仕事は適当になり、生産性も上がらない。

こうした風潮に対して、北朝鮮当局は「農村支援総動員部」を組織。メンバーは、各地域の党、行政機関のイルクン(職員)、検察所、人民保安署(警察)の保安員たちだ。農村で住民がちゃんと働いているのかを管理、監督する。また、農業用設備や資材などの調達を監督する役目もある。

こうした対策を練ってもあまり効果はないようだ。そもそも住民たちにとって「田植え戦闘」は非常に厄介だからだ。

重労働に加え、農村支援に行っても食事が出ない。田植えに時間を取られて、市場で商売する時間がなくなる。つまり、現金収入は減る。

生産量を増やすための農村支援が、逆に住民生活を圧迫する皮肉な状況を生みだしているのが北朝鮮の「田植え戦闘」なのだ。

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