朝鮮人民軍の内部で、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部部長の処刑説が急激に拡散しているが、地方の住民たちにも広まりつつある。

参考写真:玄永哲氏(左)と黄炳瑞氏(右)/2015年4月26日付労働新聞より
参考写真:玄永哲氏(左)と黄炳瑞氏(右)/2015年4月26日付労働新聞より

新義州まで伝わった玄永哲氏処刑

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、次のように語った。

「中朝国境沿いの新義州(シニジュ)市では、玄永哲氏処刑説は口コミで広がっている。このままだと数日以内にも田舎にまで伝わるだろう」

移動の自由がない北朝鮮だが、通行証がなくてもソビ車(トラックバス)に乗れば比較的自由に移動できるため、行商人などを通じて噂は驚異的なスピードで拡散する。

さらに、中朝国境を往来する北朝鮮商人は、韓中メディアを通じて粛清情報を見聞きし、帰国後に広める。玄永哲氏処刑説が、北朝鮮の津々浦々まで行き渡るのは、もはや時間の問題だろう。

一方、噂と同時に「恐怖政治」も着実に北朝鮮全域に広まっている。

人民武力部部長クラスの高幹部が処刑されれば、関係があった幹部たちも数珠つなぎのように数百人処刑されるというのが北朝鮮での常識だ。

玄氏と直接繋がっていた人民武力部や軍幹部のみならず、軍と取引がある企業所社長、共同で外貨稼ぎ事業を行っているトンジュ(金主)たちは、いつ自分の身に火の粉が舞い降りるのかと恐怖に震えている。

金正恩氏のやり方は「子供っぽい」

北朝鮮の一般住民にとって「玄永哲粛清劇」は、自分たちとは関係ない政治の話しであり、あまり気にしていない様子だが、ある程度の知識人や情報通の間では、90年代の深化組事件の時のように、通常では考えられない「粛清の嵐」が吹き荒れるのではないかと噂している。

また、金正恩氏が子どもの頃、負けず嫌いが過ぎてスポーツで負けると八つ当たりで周りの子どもたちをいじめていたことは、大抵の人が知っている。

北朝鮮住民は、相次ぐ粛清劇を見ながら、「(金正恩氏の粛清方法は)子供じみている」「子供の頃からまったく成長していない」と思っている。

先述の情報筋は、最後に次のように述べた。

「これから、どれだけの幹部が処刑されるかわからないし、時限爆弾を抱え込んでいるようだ。国のことを心配する幹部を「忠誠心が足りない」と殺し、腹黒な部下奸臣ばかりを出世させる金正恩氏は『裸の王様』みたいだ」

「深化組事件では、徐?熙(ソ・グァンヒ)農業担当書記に『米国のスパイ』とレッテルを貼り処刑。その後も、徹底的に貶めるプロパガンダを大々的に行った。張成沢もそうだったが、玄永哲も貶められるだろう。こんな恐怖政治が続けば、反抗する人々が現れてもおかしくはない」(内部情報筋)

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