北朝鮮では、事実上移動の自由がないが、ソビ車(トラックバス)を使えば比較的自由に往来できるようになったと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

北朝鮮のソビチャ(トラックバス)
北朝鮮のソビ車(トラックバス)

ソビ車の運賃収入の多くは当局の懐に

北朝鮮では憲法75条により、「公民は居住、旅行の自由を持つ」とされている。しかし実際には、「通行証」なしに行政区画の境界線を越えることはできない。千葉県の人が東京都へ行くのに通行証が要るようなものだ。

しかし、最近では事情が変わりつつあると平安北道(ピョンアンブクト)のRFAの情報筋は語る。

「移動の際にソビ車に乗れば、道(自治体)の境界線を超えない限り、検問所でも特に検査はされない。でも鉄道では頻繁に通行証の検査が行われるので、必ず携行していなければならない」

ソビ車と鉄道で違いある理由について情報筋は「外貨収入を増やすための当局の目論見」があると説明する。

ソビ車は、トンジュ(金主)が車両を購入し、工場、企業所の名義で登録して営業を行う。

運賃は鉄道に比べてかなり高く外貨払い。収入の何割かが国家に収められるため、乗客が多ければ必然的に当局の収入は増えることから通行証の検査を緩和しながら乗客をソビ車に誘導するというわけだ。

いわば、バス会社の収益から税金を徴収する「資本主義社会の方式」を、社会主義を標榜する北朝鮮が、なし崩しに実践してしまっているとも言える。

「長距離路線で運行されているソビ車でも、平壌への進入路と国境地域などの一部地域を除けば検問所も少ない。また、検問所には定期的に賄賂を掴ませているから、通行証無しでもさほど問題にはならない」(情報筋)

電力難で、鉄道がまともに運行されていない北朝鮮。代替交通手段として完全に定着した「ソビ車」の輸送規模は、国営鉄道を上回るかもしれない。

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