北朝鮮で最近、大々的に繰り広げられている植樹活動。山に木を植えて土砂の流出と洪水を防ごうとする意図は正しいとしても、季節外れの冬に植樹したり、苗木が提供されないので山から引っこ抜いてきた木を植樹して木が増えたと喜んでみたりとどうもディテールにトンチンカンなことが多い。

山林造成事業で植えられたと思われる苗木
山林造成事業で植えられたと思われる苗木

北朝鮮当局は道路脇や斜面にある個人耕作地に苗木を植えることや、植えてから4年を過ぎたら作物を植えてはならない、という指示を下したことがわかった。金正恩氏が山林造成事業の強化に関する指示に基づきこのような方針が示された。

木の世話をさせられて4年後は畑を事実上没収

両江道のデイリーNK内部情報筋は次のように語った。

「国土管理総動員期間を迎え、森林管理所の森林保護員が人民班会議にやってきて『今年から道路脇や斜面にある畑を耕している住民は、木を植えて以降4年間は耕作をしつつ、木の世話をせよ』という指示を伝えた」

木の世話ぐらいだったら問題はなかったはずだが、人々を怒らせたのは「4年を過ぎたら畑での農作業は禁止」という点だ。

内部情報筋によると、昨年末に金正恩氏が平壌養苗場を現地指導したのをきっかけに、全国の個人耕作地に苗木を植えよとの指示が下された。しかし実態調査の結果、畑の主が邪魔になった木を切ったり抜いたりしてしまうケースが多いとわかったため、植樹後4年以降の耕作禁止令を出したものと思われる。

森林管理所は森林保護員を増員して監視に当たらせているが、苗木を抜いてしまう農民がいるので保護員は山ごもりして監視するはめになりかねないと内部情報筋は伝えた。

しかし、苗木を抜いてしまう農民はさほど多くはないだろうと内部情報筋は考えている。金正恩氏の指示で始まった事業なので、下手をすると指示執行妨害罪で処罰されかねないからだ。

なあなあになる頃合いを待っている農民たち

農民たちは、いつものことながら、しばらくは様子見を決め込むだろう。そして取締がなさそうだとわかったら、木を抜いてしまうのだ。政策の開始初期にはおとなしくしておいて、時間が経って取締がなあなあになったら取締の役人を賄賂づけにして「違反行為」を見逃してもらい、結局は政策を骨抜きにしてしまうのは北朝鮮の人々の「生活の知恵」だ。

国からの配給がほとんどもらえない状態で、生き残るためにかかせない個人耕作地を人々がそう簡単に国に差し出すわけがないのだ。

別の内部情報筋は、従来の個人耕作地を取り上げても結局別の場所で木を切って畑を作るだろうから、全体の森林面積は増えないだろうと指摘した。

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