北朝鮮には、はげ山が多い。慢性的な燃料不足のため、オンドルや煮炊きに山から伐採した薪を使う。また、食料生産のために山の頂上付近まで畑にしてしまうからだ。山に木がないことで大雨が降れば土砂が流出し水害が発生した。それが90年代の大飢饉「苦難の行軍」の大きな原因の一つだ。

3月2日は、北朝鮮では「植樹節(植樹の日)」だ。金正恩氏も空軍447部隊を訪れて自ら植樹をする姿が朝鮮中央テレビでも報道された。

金正恩氏が植樹をする様子
金正恩氏が植樹をする様子/2015年3月3日付労働新聞より

ところが、植樹節の実情はかなりお粗末だと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

木1本植えるたびに支え木3本を切る

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、「植樹をしろ!」と上から指示が降りてきたが、木の苗が供給されない。そこで、とりあえず山に行って使えそうな木を運び出して工場や企業所の周囲に植えているという。

直径1.5メートルほどのトドマツを60~70里(24~28キロ)離れたところからソリに乗せて運び出す。1回に載せられるのは7本。ところが、そのうち5本は植樹した木を支えるために切り出したものだ。つまり1本植えるたびに3本の木が切られてしまう計算になる。

咸鏡北道の別の内部情報筋は「うちの地方ではまだ雪も溶けていないのに植樹に駆り出されているが、こんな時期にいい加減な植え方をしているので木が育つわけがない。地域の実情などおかまいなしで中央が指示を出す」「人々は『木を1本植えるために10本を切る』と皮肉っている」と語った。

北部はまだ氷点下の3月になぜ植樹?

日本の植民地統治下の朝鮮では神武天皇祭の4月3日が愛林日に指定されて植樹行事が行われていた。独立後、韓国では新羅の文武王が677年に唐を自国から追い出した旧暦2月25日を新暦に換算して4月5日を植木日にした。

北朝鮮では4月6日を植樹節に定めたが、1999年になって3月2日に変更した。1946年のこの日に金日成氏がまだ幼子だった金正日氏と金正淑夫人を連れて平壌の牡丹峰(モランボン)に登り、第二次大戦で乱伐された森を見て「山と野に木を植えることについて」の指示を出したことから由来している。

韓国気象庁によると平壌の3月の平均気温は3.5度。ところが、両江道の三池淵は氷点下7.8度、恵山も氷点下3度しかない。いくら丈夫なトドマツでもこの時期に植え替えをしては枯れてしまうだろう。

軍事境界線そばの北朝鮮側の山 © RogerShepherd@HikeKorea
軍事境界線そばの北朝鮮側の山 ©RogerShepherd@HikeKorea

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