平安北道を走る路線バス(本文とは関係ありません)
平安北道を走る路線バス(本文とは関係ありません)

電力難に見舞われている北朝鮮だが、首都平壌だけは比較的、電力供給は行われていた。しかし、最近では路面電車やトロリーバスなどの運行に支障をきたすほど深刻だという。

仮に、電気が通っていても電圧が低くて途中で止まったり、歩くより遅い場合がある。会社通勤で遅刻でもしたら食糧配給が1日分減らされてしまう。

そこで、登場したのが「ポリポス(直訳すると『儲けバス』)」と呼ばれる民営バスだ。

料金は10倍だが便利な民営バスが盛況

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、最近平壌を訪れた女性の話を引用して民営バスの実態を伝えている。

民営バスは10人乗りや20人乗りの小さな車体が使われていて、朝のラッシュ時間帯に路面電車やトロリーバスのルートに沿って走る。

料金は普通のバスの10倍。区の境界を超えると上がるシステムになっている。例えば、寺洞(サドン)区域の松新(ソンシン)市場から大同橋(テドンギョ)までは約4キロで1000ウォン(約14円)、金万有(キム・マニュ)病院までは約6キロで2000ウォン(約28円)となっている。

「トンジュ(金主)がバスを買って工場や企業所に貸し出す形を取っているが、ドライバーや車掌もトンジュ自身が務める」

「独立採算制の実施で金を稼ぐことを迫られている工場や企業書には持ってこいの話」

「ドライバーは儲かっているみたいで、『アリラン』スマホを使い人民元で5元(約94円)もするタバコを吸っている」(前述の女性)

平壌市内ではさらに「トントンイ」と呼ばれる三輪タクシーやバイクタクシーなども運行されている。RFAによるとバイクタクシーの料金は1駅で2000ウォンだ。

当局は黙認 国営バス会社は取締するも賄賂で黙る

民営バスの運行は違法行為だが、もはや市民にとって欠かせない足になっているので当局も黙認せざるをえない状態だ。

一方、国営のバス事業所も利益を出すために運行しているので、新規参入業者が増えては面白くない。そのような事情から当局も独自の取締を行うが、案の定、賄賂でごまかされる。

「平壌旅客運輸事業所が糾察隊を作って民営バスの取締に乗り出した」

「糾察隊はバスの終点やロータリーなどで待機して民営バスが通過したら取締を行う。しかし、ドライバーは糾察隊にタバコや金を握らせて黙らせてしまう」(別の平壌市民の話)

平城発の長距離バスは49路線 民間が交通を担う時代に

90年代の中国では、急増する乗客数にバスの輸送量が追いつかず毎朝のように「通勤戦闘」が繰り広げられていた。

朝夕のラッシュ時には、押し合いへし合いしながら、決死の思いで車内に体を滑り込ませていた。しかし、車内に入りこんでも人が多すぎてドアが閉まらず、出発できないという、まさにカオスの風景が見られた。

そこで登場したのが民営のミニバス。中国国営バスの5?10倍の運賃を取ったが、速くて座れるので人気を博した。

かつての中国のように、北朝鮮でも市場経済の発展に伴い民間ビジネスが増えている。マンション建設も民間資本を誘致して行うぐらいだ。昨年2月14日の韓国KBSの報道によると平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)のバスターミナルから運行されている長距離バスは49路線に及ぶ。鉄道の運行が正常に行われていないからだ。

北朝鮮でも「国営」の時代は終わり、「民営化」が主流になろうとしている。

    関連記事