報道各社は、「金正恩氏」という言葉を使わず「北朝鮮指導者の参加」と伝えている。つまり「金正恩氏が参加する」とは明確に述べられていない。ロシア側が言う「北朝鮮指導者」が、果たして「金正恩氏」当人を指すのかどうかが今後の最大のポイントとなる。
同じような例は過去にもあった。2012年、イランで開かれた国際会議に「北朝鮮首脳が参加」すると発表されたが、フタを開けてみると対外的な元首に位置づけられている金永南・最高人民会議常任委員会委員長が参加した。(関連記事)
ここ最近の北朝鮮外交では、金永南氏が「外交上の国家元首」として外国を訪問したり要人と会談することも多く、今回も「北朝鮮の首脳部」として金永南氏が訪露する可能性もなくはない。
正恩氏のロシア訪問における「両国の思惑」
「正恩氏ロシア訪問」の背景として取りざたされているのが中朝関係の悪化だ。2013年の「第三次核実験強行」や「張成沢処刑」によって中国という後ろ盾を失いつつある正恩体制が、新たな支えとして大国ロシアとの接近を模索し始めたというシナリオだ。