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先月8日の金正恩総書記の誕生日に続き、今月16日の光明星節(故金正日総書記の生誕記念日)にも北朝鮮の子どもたちに配られたお菓子セット。

食糧難に苦しむ北朝鮮国民は、相変わらず「空気を読めていない」お菓子セット配布に不満顔だが、農民たちは別の視点から反発している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:「空気を読めていない」金正恩 “誕生日のお菓子セット”に国民反発

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、定州(チョンジュ)市内の託児所、幼稚園、小学校に通う子どもたちに、光明星節を2日先に控えた14日、お菓子セットが配られたと伝えた。

中身はキャンディ、スナック菓子、おこしなど1キロで、特に代わり映えしないものだったが、問題はパッケージだ。過去の例を挙げると、2017年以降は「強盛国家号」と書かれたミサイル、それ以前は「この世に羨むものなし」と書かれたものなど、デザインは時代に合わせて変わってきた。

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ところが、今回配られたお菓子セットのパッケージは、農業に欠かせないビニール膜でできたものだった。朝と昼の気温差が激しく霜の降りやすい北朝鮮で、ビニール膜は苗代を守る非常に大切な営農資材だ。

多くを中国からの輸入に頼ってきたが、極端なゼロコロナ政策による貿易停止で入荷しなくなり、作況に悪影響が出てきた。それをあろうことか、お菓子セットのパッケージに使ったというのだ。北朝鮮のモノ不足がいかに深刻かを示している。

(参考記事:北朝鮮農業省の「無茶ぶり」に絶望感漂う農場の現場

定州市の人口は約18万人。今回配布対象となった子どもの正確な数はわからないが、情報筋によると数万人に達する。お菓子セット1袋あたりに必要なビニール膜は0.5メートル。ぜんぶ合わせれば、少なくとも2つの協同農場で使用する量に相当するというのが情報筋の見方だ。

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定州から程近い平安南道(ピョンアンナムド)の徳川(トクチョン)市でも、同じようなビニール膜の無駄使いが行われたと、現地の情報筋が伝えた。

徳川では光明星節前日の15日、市内の子どもたちにキャンディ、スナック菓子、ゼリーなど1キロのお菓子セットが配られた。個々の商品は国内産の再生ビニールで個別包装されていたが、それがすべて入っている大きなパッケージには、中国製のビニール膜が使われていた。

再生ビニールは、地域で集めた不要ビニールを集めてリサイクルしたものだ。一方、中国製のビニール膜は先月、地方政府傘下の貿易会社が貴重な外貨を使ってわざわざ中国から取り寄せたものだ。

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実はこの大切なビニール膜、先月の金正恩総書記の誕生日の際に配られたお菓子セットにも使われていたが、本来の輸入目的は、農場で使うためのものだった。そのせいで、各農場では、苗床を作るのに支障をきたすはめとなっている。

営農資材を流用されてしまったことを知った農場の幹部や農民は、稲の種まきを来月に控え、ビニール膜が必要なのにどうするのかと、当局のやり方を批判している。また、国の農業よりお菓子セットのパッケージのほうが大切なのかと不満を漏らす人もいるという。

(参考記事:「金日成銅像」に妻を奪われた北朝鮮男性の悲劇