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北朝鮮の平壌地下鉄は朝鮮半島で初の地下鉄として、韓国ソウルの地下鉄よりも1年早い1973年9月に開通した。総延長22.5キロ、2路線を擁し、旧ソ連のモスクワ地下鉄をモデルにした宮殿のようなプラットフォームは、国内外の観光客が訪れる平壌名物でもある。

地下鉄以外にも、12路線のトロリーバス、3路線の路面電車などが存在し、公共交通機関が非常に発達しているが、乗客は頻繁な停電・故障による運休で不便を強いられている。

現地のデイリーNK内部情報筋によれば、先月26日と30日、走行中だった地下鉄が駅間で止まってしまい、乗客が長時間にわたって閉じ込められる事故が起きた。情報筋の説明では、不安定な電圧によりショートしてヒューズが飛んだり、部品がなく修理ができていない状態で運行を続けたりしたことで、こうした事故が多発している。

特に冬場は電圧が安定せず、トンネルに閉じ込められることもあるため、乗客は「今日はまともに動くだろうか」と心配を抱えながら利用しているという。先日、平壌に電力を供給している北倉(プクチャン)火力発電所で、老朽化した発電設備を修理もせずに使い続けたことで爆発事故が起き、稼働が止まってしまったことも影響している可能性がある。

(参考記事:老朽化した発電設備が爆発…人災を招く北朝鮮の「満稼働・満負荷」

平壌市旅客運輸管理局は、乗客の不安を解消するため、「新年からは人民が不便をこうむることのないように全力を尽くす」と宣言したが、そもそもの原因である電気や部品の不足が解消しない中での宣言は空約束に過ぎないのではと、否定的な声が上がっている。

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また、「老朽化した設備と電気の不足も解決できないくせに、ミサイルを撃って軍事強国だと言ってどうなるのか」との声も聞かれるという。

立ち往生した電車から降りて、後ろから押したり、諦めて歩いたりする乗客の姿を見た中央党(朝鮮労働党中央委員会)の責任イルクン(幹部)たちは「元帥様(金正恩総書記)が知ったらどれほど悲しむだろうか」と嘆きつつ、解決策ひとつ示さず「担当イルクンが問題を解決できなければ辞めさせるしかない」と、現場に責任を押し付ける相変わらずの態度を示しているとのことだ。

(参考記事:「タクシーばかり増え心重かった」金正恩氏、新型路面電車など視察

そんな窮状を知った金正恩氏が悲しむか、激怒するかは誰にもわからない。

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地下鉄や路面電車の新型車両に試乗するほど公共交通機関に関心を示している金正恩氏だが、かつて、管理状態が悪くスッポンの幼体を死なせてしまった養殖場の管理人を処刑したこともあるだけに、平壌市旅客運輸管理局の幹部の首が物理的に飛ぶ事態も充分ありえるだろう。

(参考記事:金正恩の「ダチョウ様」が大量死…スッポン処刑の悪夢よぎる