金正恩の「ダチョウ様」が大量死…スッポン処刑の悪夢よぎる

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北朝鮮の首都・平壌郊外にある平壌ダチョウ牧場。40万平米の広大な敷地に110あまりのダチョウ小屋などの施設が立ち並び、数多くのダチョウが飼育されている。北朝鮮国民に食肉と卵を供給すると同時に、観光名所ともなっているのだが、ここのダチョウが大量死する事件が起きた。

牧場関係者は恐怖に怯えているということだが、一体どういうことだろうか。平壌のデイリーNK内部情報筋がその経緯を伝えている。

事件が起きたのは今月中旬のことだ。

メスだけを飼育している小屋で、一部が急に口から泡を吐き発作を起こした。その知らせを聞いてかけつけた技師長と獣医が対処に当たったが、症状が次から次へと広がり、80羽が死んでしまったという。

この事案は上部に報告されたが、それは「1号報告」、つまり金正恩党委員長にまで報告されたという。ダチョウ牧場がそれだけ重要視されているということだが、それには次のような背景がある。

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何十万人もの人が餓死に追いやられた1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の真っ只中にあった1998年、金正恩氏の父・金正日総書記は、「多くの外国でダチョウを人工飼育している」として、畜産家禽部門のイルクン(幹部)にダチョウの飼育を命じた。

韓国の聯合ニュースは2002年、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)の月刊誌「祖国」同年1月号の記事を引用し、朝鮮総連系の金剛山歌劇団のパク・チョンエ副団長が、祖国に270羽のダチョウを寄贈したと報じている。

かくして平壌ダチョウ牧場の建設が決まり、「速度戦」で建設され、翌年4月15日の金日成主席の87回目の生誕記念日に竣工した。視察した金正日氏は牧場を高く評価し、「パク・チョンエ愛国ダチョウ牧場」と命名したという。

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金正日氏は2000年12月にも牧場を訪問、翌年には中国の江沢民国家主席(当時)を案内するなど、並々ならぬ関心をみせていた。

現在ここで飼われているダチョウは、朝鮮労働党の資金で購入し、金正恩党委員長から寄贈されたため「贈り物のダチョウ」と呼ばれている。そんな牧場で飼育されていた「ダチョウ様」が大量死したとあっては、牧場の幹部と飼育員は処罰を免れないだろう。

金正恩氏は2016年、スッポン工場を視察した際に管理不備に激怒し、支配人を銃殺。視察時の映像をテレビ放映させ、自らの恐ろしさをアピールする残忍さを見せた。

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(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

当局は原因究明と消毒作業のために中央防疫所の獣医防疫課の課長以下10数人を牧場に派遣した。調査班は「餌に問題はなかった」との見方を示し、それを聞いた牧場関係者は胸をなでおろしたが、依然として原因究明には至っておらず、不安な日々を送っているという。

中央党(朝鮮労働党中央委員会)は、被害拡大防止に最善の努力を尽くすよう指示を下し、担当の保衛員(秘密警察)は、事件を外部に漏らすなとかん口令を敷いている。

新型コロナウイルス、アフリカ豚熱など度重なる感染症の拡散に苦しめられている北朝鮮だが、今回の事案も感染症が原因である可能性がある。北朝鮮の畜産業の拠点、江原道(カンウォンド)の洗浦(セポ)地区畜産基地でも、今年4月にアフリカ豚熱の感染が広がり、家畜が大量死する事件が起きている。

(参考記事:金正恩氏の自慢「北朝鮮のスイス」で伝染病が蔓延

ダチョウはアフリカ豚熱には感染しないが、鳥インフルエンザウイルスに感染する。また、新型コロナウイルスに感染する可能性もある。

日本の全国家畜畜産物衛生指導協会の資料によると、高病原性鳥インフルエンザウイルスには、渡り鳥によって持ち込まれ、ダチョウも感染する。親鳥の場合は感染しても多くの場合が無症状だが、衛生状態が悪い場合やストレスが多い場合には死亡しやすくなるという。