ついに「金正恩の米屋」も在庫ゼロ…食糧難が限界に

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北朝鮮が28日、またもや弾道ミサイルを発射した。その一方で、国家の屋台骨は大きく揺らいでいる。

9月下旬から始まった北朝鮮の秋の収穫。平安北道(ピョンアンブクト)や黄海北道(ファンヘブクト)では稲とトウモロコシの収穫が完了したと、国営の朝鮮中央通信は報じているが、いずれの記事も収穫量には触れていない。

様々な作物の不作が伝えられる中での収穫だが、やはり稲やトウモロコシもかなりの不作だったようで、当局が実態把握に乗り出した。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:大雨に猛暑で深刻な北朝鮮のジャガイモ不作、収穫放棄地も

当局は、安州(アンジュ)、平原(ピョンウォン)、粛川(スクチョン)、文徳(ムンドク)など、「十二三千里平野」と呼ばれる穀倉地帯や隣接する价川(ケチョン)、平城(ピョンソン)など、道内の国家食糧販売所(国営の穀物商店)の在庫について調査を指示。朝鮮労働党や内閣の幹部が各地域に派遣された。

秋の収穫期であるにもかかわらず、いずれの国家食糧販売所でも、コメはもちろんのことトウモロコシ、大豆、ジャガイモなど食糧の在庫量がゼロに近かったという。

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(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

国家食糧販売所は、9月9日の共和国創建日(建国記念日)、10月10日の朝鮮労働党創建日などの祝日に、一部の幹部や大都市の住民を対象に穀物の販売を行ったが一時的なものに過ぎず、その後は開店休業状態となっている。

さらに、地方の国家食糧販売所には、勤めている従業員に配給する穀物すらなく、市場で買い求めている有様だったとのことだ。

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この国家食糧販売所は、市場に主導権を握られてしまった穀物販売を、国の手に取り戻し、価格と供給の安定を図るために開設されたが、当初からうまくいっていないとの指摘がなされていた。

(参考記事:穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

不作を商機と捉えた機関やトンジュ(金主、ニューリッチ)は、各地の協同農場と結託し、脱穀前のコメを買い上げている。供給量不足でコメ価格が上がることを見越してのことだが、脱穀されるまで待っていると競争相手に独占されてしまうほどの不作だと別の情報筋は伝えている。

実際、例年のこの時期なら下がるはずの市場でのコメ価格は、小幅の上昇となっている。平壌の市場では今月3日、コメ1キロが5500北朝鮮ウォン(約99円)にで取り引きされていたが、16日には5870北朝鮮ウォン(約106円)に上昇した。

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平壌には、当局から食糧配給を受け取る幹部が多いため、他の都市に比べてコメ価格が安く、他ではコメ1キロが6000北朝鮮ウォン(約108円)台で取り引きされている。一般庶民はとても手が出せないため、代替品であるトウモロコシを買い求めているが、それも価格が下がらず、厳しい負担となっている。

情報筋は、秋の収穫が完全に終わった後にも穀物価格は下がらないと見ており、中国やロシアから穀物を輸入しない限りは、絶糧世帯(食べ物が底をついた世帯)が大量に出現すると予想している。

(参考記事:「カエルも食べない水草」で飢えをしのぐ北朝鮮の農民たち