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北朝鮮の首都・平壌の東郊外にある大城山(テソンサン)。麓には金日成主席と金正日総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿があり、山腹には国立墓地に当たる大城山革命烈士陵が位置する、平壌でも最も神聖とされるエリアだ。

その革命烈士陵を挟み込むように立地しているのが朝鮮中央動物園と、朝鮮中央植物園だ。中央植物園は「人民の幸せをもたらす」とした故金日成主席が自ら場所を選定したもので、完成後に10回も現地指導を行い、150回も教示(指示)を下すほど並々ならぬ関心と愛情を注いでいた。

そんな重要な植物園で勤務する庭師6人が追放されるという事件が起きた。その経緯を、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事は9月9日の共和国創建日(建国記念日)の前に遡る。国営の朝鮮中央通信は、同月7日配信の記事で、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理が、人民(民生)経済の現地了解(視察)として、順川(スンチョン)セメント連合企業所、金星(クムソン)トラクター工場と合わせて、中央植物園の樹木園を訪れたと報じている。

ここからは記事にないが、情報筋の伝えた話はこうだ。

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金総理は植物園の樹木の実態を見て、「表面的には立派にしてあるが、中身がない」と批判を繰り出したのだ。働く者たちが、ここが先代の首領(金日成氏、金正日氏)の領導業績単位(実際に訪れた場所)であるにもかかわらず、その自覚が足りない、普通の植物園を考えまともに働いていないなどと、厳しく叱責した。

より具体的には、敷地の3割に樹木がなく雑草だらけで、芝生に撒く水も防疫対策を行っておらず枯れつつあるという点を指摘した。

何よりも問題になったのは、金日成氏と金正日氏から贈られた「贈り物の木」の管理状態だろう。葉が茂っておらずみすぼらしい状態で放置されていたというのだ。対外向けプロパガンダサイトの朝鮮の今日は、中央植物園の写真を「贈り物植物の肥培を熱い心で」とのタイトルで配信しているが、実情とはかけ離れていたということになる。

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さらに、「至らぬ点が一つや二つではない」「条件が整っていないと言い訳ばかりして、樹木園事業で主体性を具現できず、効果的な肥培管理ができなかった」「技術、実務責任者を全員処罰すべきだ」と指摘した。

「たかが木」ではないかと言うなかれ。北朝鮮は、最高指導者が訪れた場所はもちろん、単に座っただけの椅子にも「将軍様がお座りになった椅子」など書かれた赤地に金文字の看板を掲げて神聖視し、その肖像画を命を投げ出して事故や災害から守り抜いたことが美談として持ち上げられるお国柄。逆に言うと、最高指導者に関するものを粗末に扱えば、厳しい処罰を受けることを意味する。

(参考記事:金正恩氏が配ったお菓子セット、不味すぎて政治事件に発展

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結局、6人の庭師が処罰の対象となり、平壌から追放され、核実験場のあったことで知られる咸鏡北道の吉州(キルチュ)、金策(キムチェク)、両江道(リャンガンド)の延社(ヨンサ)の山奥の農場に追放された。日本式に言い換えると、江戸所払いの上、島流しのご沙汰が下った、と言ったところだろう。

豊かな平壌を追われ、文明とはかけ離れた僻地での暮らしを強いられるのは、非常に過酷なことだろう。

(参考記事:北朝鮮山間部の悲惨な「水事情」…汚染水で皮膚病も

ただ、不幸中の幸いというべきは、叱責したのが金正恩総書記ではなかったということだ。金正恩氏に面前で叱責されたら、物理的にクビが飛んでもおかしくないだろう。

(参考記事:金正恩の「ダチョウ様」が大量死…スッポン処刑の悪夢よぎる

一方、植物園の行政、党の責任者は、内閣からの追及を受け、批判書を書かされ、党からの警告を受けるレベルで済まされた。植物園全体の責任ではないという理由からだ。

口コミでこの一件を知った人々は、「また犠牲者が出た」「物質的、技術的保障をまったくしてもらえないのに、無条件で党の方針を貫徹させるために木を生き返らせ育てよというものだ」「手持ちのものはないのに、やれと言ってできなかったからと、また人を追放した」などと、当局のやり方を批判しているとのことだ。

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