北朝鮮では、まだまだ上水道の整っていない地域が多い。中でも山間部の状況は深刻だ。その現状を黄海北道(ファンヘブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

首都・平壌の南、黄海北道は昔から穀倉地帯として知られている。しかし、道内でも東部は山がちの立ち遅れた地域だ。

中央部の遂安(スアン)、新渓(シンゲ)、谷山(コクサン)は、歴史上一度も上水道の恩恵を受けたことがないという。

梅雨を迎えた北朝鮮では、バケツやたらいに受けた雨水が使える。冬は雪を溶かした水が使える。しかし、それ以外の季節には小川や溜池まで水を汲みに行かなければならない。地域によっては、往復8キロものの道のりを行き来することになる。

その水も、きれいとは言えない。2006年に脱北した水道技術者によると、北朝鮮の水源保護地域は、軍事施設内にあることが多いため水質は良好だ。しかし、どういうわけか、地域を流れる礼城江(レソンガン)は汚染されている。そのせいで、現地の人々の肌はカサカサで、どす黒い色をしている。特に、子どもの多くは皮膚病を患っている。

幹部は、トラクターや牛車を使って水を運べるだけ庶民よりはまだマシだが、汚染された水を使わざるを得ない点では同じだ。

「お上は経済発展5ヵ年戦略を強調し、人民生活改善を謳っているが、この地の水問題も解決できないのに、何が経済発展だ」と不満を口にする人もいるが、「これも運命だ」と諦めている人も多い。不満を持つ以前に、外の世界のことを知らない人も多い。

この地域は鉄道や幹線道路からも離れており、産業が発達していないため、外部からクチコミ情報を伝える商人が入ってこないのだ。

軍事境界線に近いため、昼間でも韓国のラジオ局をクリアに聴取できるが、ラジオ受信機を買えるのはごく一部の住民のみ。テレビを見ようにも、電気もない。ナイナイづくしの生活だ。

国連人口基金(UNFPA)の調査によると、2014年の北朝鮮の上水道普及率は82.1%だ。しかし、実際はこれよりはるかに低いものと思われる。マンションの場合、電力難でポンプが使えず、水道が使えない場合が多いからだ。

残りの10.5%は井戸、4.1%は湧き水、2%は共同水道を利用しているとのことだ。

北朝鮮の水道政策は農業用水の確保に重点が置かれており、一般家庭の水道施設は非常に立ち遅れているとの指摘がなされている。

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