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北朝鮮の金正恩総書記は、今年1月に開かれた朝鮮労働党第8回大会の結語で、次のように述べている。

全党的、全国家的、全人民的に強力な教育と規律を先行させて、社会生活の各分野で現れているあらゆる反社会主義的・非社会主義的傾向、権力乱用と官僚主義、不正・腐敗、税金外の負担などあらゆる犯罪行為を断固阻止し、統制しなければなりません。

(参考記事:経済を最優先、核戦略では妥協せず…金正恩氏、党大会で結語

北朝鮮は1974年、故金日成主席の提唱により、税金制度を廃止。本来なら税金は徴収されないはずだが、法的裏付けのない金品の徴収、つまり「税金外の負担」が頻繁に強いられ、人々を苦しめている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、清津(チョンジン)市内の幼稚園が、園児の親に様々な経済的負担を強いている実態を伝えた。

先月22日、清津市の水南(スナム)幼稚園では動物園への遠足が行われた。清津動物園は、この幼稚園から北東へ1キロあまり離れた青岩(チョンアム)区域の洛陽洞(ラギャンドン)にあり、おそらく徒歩で往復したのだろう。

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必要となるのは動物園の入場料800北朝鮮ウォン(約18円)だけのはずだが、幼稚園は親たちに1人あたり入場料と称して2500北朝鮮ウォン(約58円)を支払うよう要求した。

今回だけならさほど大きな負担ではないが、幼稚園では備品の購入、教室の整備、名節や記念日のお祝いなどと様々な理由を挙げ、多いときには1回に1万北朝鮮ウォン(約230円)の負担を強いているというのだから、たまったものではない。

それも、今年に入って急増し、費用が払えないからと幼稚園に行きたがらない子どもが増えているというのが情報筋の話だ。費用を払えとしつこく迫られたり、出せないからと叱責されたりするのだろう。

(参考記事:北朝鮮、無償教育のはずが教育費払えず退学続出の謎

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情報筋は「生活が苦しくなった幼稚園の教師たちが、露骨に税金外の負担を要求している」と説明した。若い親たちは、必死にカネをかき集めて、幼稚園に納めているという。

無償で教育を受けられることになっている北朝鮮で、なぜこんなことが起きているのか。それは、幼稚園からまともな給料をもらえず、食糧配給も得られなくなった教師は、園児の親からカネをせびり取り、生活費にするしかないからだ。運営資金を調達しなければならない幼稚園側の指示の下に行われていることは言うまでもない。

教師が児童、生徒の親に様々な金品、税金外の負担を要求する現象は幼稚園にとどまらず、小中高大学など北朝鮮のすべての教育機関で広範囲に見られる現象だ。また、親の側から積極的に金品を提供する事例も多く報告されている。我が子が教師に辛く当たられることを避けたいという親心からだ。

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(参考記事:「黒いカネ」が飛び交う北朝鮮の期末試験

学校で教わる内容は、思想教育に偏重したもので、実用的とは言い難い。少しでも経済的に余裕のある親は、教師や大学生に賃金を支払って家庭教師として雇い、子どもに少しでもいい教育をさせようとする。北朝鮮の教育現場は、物心がつくころから社会に出る直前まで、社会のどす黒さを存分に教え込むものになってしまっているのだ。

(参考記事:「社会主義は教育が大切」講演会に北朝鮮国民の冷淡な反応