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【平壌7月22日発朝鮮中央通信】南興青年化学連合企業所(平安南道)と興南肥料連合企業所(咸鏡南道)の活動家と労働者が施肥年度営農肥料の供給計画を完遂した。

南興青年化学連合企業所では、日別、週別、月別の肥料生産計画を狂いなく遂行するための掌握と指導を強化するとともに、職場間、工程間の連携を緊密にすることに大きな力を入れた。

触媒の国産化を実現し、大衆の創造的知恵と力を積極的に発揚させるための事業など、予備と可能性を最大限に動員、利用する事業も綿密に行った。(以下略)

これは、北朝鮮国営の朝鮮中央通信が22日に配信した記事の冒頭部分だ。計画で定められた分の肥料の生産を達成したということだが、内実は異なるというのがデイリーNK内部情報筋の話だ。

平安南道(ピョンアンナムド)の順川(スンチョン)燐酸肥料工場は、昨年5月1日に行われた竣工式に金正恩総書記も参加した、最新設備を誇る肥料工場だ。

(参考記事:金正恩氏、肥料工場の竣工式に参加…20日ぶり公開活動

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ところが、それから1年以上経っても肥料の生産ができずにいるというのだ。

「燐酸アンモニウムは全く生産ができておらず、過燐酸石灰窒素は他の工場で作った肥料を持ってきて、包装紙だけ替えて出荷している」(情報筋)

生産ができていないとなると、責任者は処罰を免れない。そのため、生産できているふりをするために、中国や国内の別の工場で生産された製品のパッケージやロゴだけを替えて、あたかも自社製であるかのように装う「産地偽装」は、北朝鮮で以前から見られる手法だ。しかしとうとう、金正恩氏ご自慢の肥料工場でもそんなことが行われるようになったのだ。

(参考記事:北朝鮮、コロナワクチンを「産地偽装」か

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そんなことをしなければならない最大の理由は、原料不足だ。原料となる硫酸ナトリウムは咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)で生産されているが、その量が少なく、順天の工場に充分な量が供給されていない。

また、昨年1月からのコロナ鎖国と外貨不足により、燐灰石からフッ素を除去する設備が輸入できず、燐酸アンモニウムの製造ラインが完成させられていないことも、情報筋が挙げた理由の一つだ。さらには自動化設備に必要な半導体も輸入できず、手動での生産しかできない有様だという。

北朝鮮お得意の「自力更生」で乗り切ろうにも、国内技術、国内産で賄えないものについてはどうしようもないが、当局は独自技術の開発のために、科学者を肥料工場に派遣した。

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「輸入原材料はもちろん、設備まで最大限自主的に制作するために、国家科学院と金策(キムチェク)工業大学の研究者を中心とした『科学者技術者突撃隊』を立ち上げ、順川の工場に送り込んだ」(情報筋)

竣工式はとっくの昔に終わったのに、中身はすっからかんというのも北朝鮮でよく見られる事例だ。今年3月には、工場の稼働ができない責任を問われ、工場の幹部ら60人が逮捕されているが、それから半年近く経っても進展はないようだ。

(参考記事:金正恩に「大恥」をかかせ逮捕された60人の男たち

国は、今年中に約5万トンの肥料を生産するとの目標を打ち出しているが、その見通しは暗い。そればかりか、労働者に配給する食糧の調達ができず、彼らを近隣の農場や牧場に「出向」をさせているいるのが現状だ。

国内各地では、肥料や営農資材、労働力の不足により、例年にもましての凶作が見込まれている。

(参考記事:「農民からいかにコメを奪うか」食糧難の北朝鮮で緊急会議