米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、米製薬大手ファイザー、独ビオンテック、欧州医薬品庁(EMA)などがサイバー攻撃を受けたのは昨年12月のこと。北朝鮮系と見られるハッカー組織は、新型コロナウイルスのワクチンに関する情報を盗み出そうとしていたようだ。
情報機関の偵察総局は、1998年にできたサイバー攻撃部署の121部隊を、今年1月3日に325局に編入させて、金正恩総書記からの指示を直接受ける体系に変更し、ワクチンに関する情報を盗み出すハッキングを行なった。情報の奪取には成功したものの、その後の過程で問題が生じたようだ。
(参考記事:北朝鮮が米ファイザーをハッキング、ワクチン技術狙い 韓国報道)
デイリーNKの北朝鮮国内の高位情報筋によると、北朝鮮国内ではワクチン製造技術をすべて確保したとの主張がなされているが、国産ワクチンの製造に関する研究は進んでいない。それだけの技術力がないからだ。
しかし、金正恩氏はワクチン開発に関して随時報告を受け、国産ワクチンの開発の重要性を関係者に強調しているという。国産であることが、自分の業績となるからだろう。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面一方で情報筋は、当局が最近、中国とロシアで製造されたワクチンのサンプルを取り寄せ、金日成総合大学の生物学研究所などワクチン研究機関に分析させ、模造品を作る作業を行わせていると明らかにした。つまり、研究者レベルでは、独自の技術力でのワクチン開発を半ば諦め、「なんちゃって国産ワクチン」を作ろうとしているものと思われる。
北朝鮮は今までも、自動車、テレビ、スマートフォン、タブレットPCなどの部品を海外から取り寄せ、国内で組み立てて自国のブランド名で販売するという「なんちゃって国産品」を量産してきたが、その手法をコロナワクチンでも使おうとしているようだ。
(参考記事:タイヤ不足で未出荷トラックがあふれる北朝鮮「5カ年計画」の現場)北朝鮮国民が接種するのが、どのようなワクチンになるのかは今の段階ではわからないが、どうなろうとも、「ワクチンが打てたのは元帥様<金正恩氏>のおかげ」とプロパガンダのネタに使われることだけは確かだろう。
(参考記事:北朝鮮、援助のワクチンで体制宣伝の可能性「元帥様のおかげ」)