海外の北朝鮮研究者、ジャーナリストの間で毎年注目を集めるものがある。北朝鮮で発行されるカレンダーだ。4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)、2月16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)という「民族最大の名節」にもうひとつ、祝日が加えられるかが、注目の的だ。
他ならぬ1月8日の金正恩党委員長の生誕日のことだが、デイリーNKが内部情報筋を通じて入手した複数の2021年の北朝鮮のカレンダーにその表記はなかった。
また、金正恩氏が朝鮮労働党第1秘書に推戴された4月11日、国防委員会第1委員長になった4月13日、朝鮮労働党委員長になった5月9日、共和国元帥になった7月7日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)最高司令官になった12月30日に関しては、カレンダーに記載があるものの、平日扱いとなっている。
(参考記事:新年の「金正恩カレンダー」が北朝鮮で人気ダダ下がりのワケ)
金正恩氏は、思想教育やプロパガンダを担当する初級宣伝活動家を集めて2019年3月に開催された第2回全国党初級宣伝活動家大会に送った書簡で、次のように指摘しており、この影響があったと思われる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面(参考記事:北朝鮮で18年ぶり宣伝活動家大会…金正恩氏が書簡)ひとつのスローガンを掲げて1件の宣伝扇動資料を浸透させても非現実的で誇張されて派手な表現で飾り立てるのではなく、人民たちが好み、認めて、呼応できるような真実性と通俗性を保障することが重要です。
ただ、政権の座に就いて10年目を迎え、臨時の祝日にする可能性も捨てきれない。北朝鮮は1962年から1967年までと、1975年に、それぞれ金日成氏と金正日氏の生誕の日を臨時祝日とし、1972年と1976年から民族最大の名節に昇格させたことから、同じ流れをたどる可能性もあるということだ。
儒教から来る年齢秩序が色濃く残っていることから、「若造」である金正恩氏が自らの生誕記念日を制定すると「生意気だ」という反発を買う可能性があるとの指摘もあった。
(参考記事:北朝鮮、2017年も金正恩氏の誕生日「銀河節」は制定されず)