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金日成首相(当時)は朝鮮戦争の最中だった1951年、米軍の爆撃で廃墟となった平壌を再建するための「平壌市復旧建設総計画図」を作成した。それに基づき、1954年に完成したのが金日成広場だ。

面積7万5000平米、100万人を集めることができる巨大な広場だが、実は天安門広場と比べると約6分の1の面積だ。人民大学習堂、内閣、外務省、対外経済省の庁舎、朝鮮中央歴史博物館、朝鮮美術博物館、朝鮮労働党中央委員会に囲まれ、広場に面した大同江の対岸にはチュチェ(主体)思想塔がそびえ立つ、まさに北朝鮮のシンボルだ。

平壌を訪れる外国人観光客が、必ず立ち寄る観光名所でもある。

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そんな金日成広場で補修工事が行われていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

補修工事が行われているのは、金正恩党委員長が政治的行事や軍事パレードの際に立つ主席壇や周囲のひな壇、そして広場を照らす照明だが、今回の工事で特に力が入れられているのは、肖像画だ。

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主席壇にかかげられた金日成主席と金正日総書記の肖像画。2012年、それまで掲げられていたマルクスとレーニンの肖像画に取って代わったものだが、今回が初めて補修作業となる。

最高指導者の肖像画は、北朝鮮では命より大切なものとされている。

金日成氏が、血で血を洗う権力闘争に勝利し首領唯一体制を確立させた直後の1968年から全国の機関で肖像画を掲げるようになり、1970年代からはその対象が家庭にまで広がった。

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どこにでもあるだけあって、事故や災害で傷つくこともあるが、命を投げ出して肖像画を守り抜けば美談として紹介される。戦前の日本での御真影の扱いと同じだが、これが人間中心のチュチェ(主体)思想を標榜する北朝鮮の現実だ。

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逆に、たとえ事故であっても肖像画を傷つけでもしたらただでは済まされない。ましてや、国の中心にかけられた特別な肖像画だ。傷つければ物理的に首が飛ばされることも十分考えられる。

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現在、肖像画には幕がかけられている。「肖像画の毀損を懸念し、本格的に工事が始まる前に保護措置を取ったもの」(情報筋)だが、これは「人名を保護する」という役割もあるということだ。中では萬寿台創作社の1号画家(肖像画担当の画家)が、肖像画の色あせた部分を塗り直すなどの作業を行っている。

工事の完成予定はわかっていないが、群衆デモや10月10日の朝鮮労働党創立日の行事の準備が8月から始まるとの予告があったことから、その前には終わるものと情報筋は見ている。

また、軍事パレードも歴代級の規模になると見られる。大規模な兵器の移動のために進入路と広場内の道の補強工事も行っている。

北朝鮮当局は公式に認めていないが、各地では依然として新型コロナウイルスと思しき症状の患者が発生している。たとえ地域での感染を抑え込んで、平壌市外からの人口の移動を完全に遮断したとしても、いつどこで感染が広がるかわからないのに、そんな大規模な行事を開いて大丈夫なのだろうか。

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