北朝鮮「核実験場地区」でコロナ集団感染か…病院は搬送拒否

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北朝鮮の北東部、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の吉州(キルチュ)と言えば、一昨年に爆破された豊渓里(プンゲリ)核実験場で世界中に名が知れ渡った場所だ。

だが、今回は核兵器ではなく、新型コロナウイルスで世界の耳目を集めかねない状況になっている。

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デイリーNKの現地情報筋によると、郡の中心市街地と、郡の南部にある炭鉱地帯の日新(イルシン)労働者区で、今月1日の時点で40人以上が新型コロナウイルスと疑わしき症状を見せた。

本来なら咸鏡北道では、新型コロナウイルスに感染した疑いがある患者は、吉州から北東に130キロほど離れた道庁所在地の清津(チョンジン)にある病院に搬送することになっているが、一度に多く発生した患者を搬送する余裕がなく、「郡内で自主的に対処せよ」との指示が下された。

ちなみに清津では今年2月、肺炎とインフルエンザの患者12人が相次いで死亡する事態が起き、新型コロナウイルスの蔓延が疑われているが、今回の搬送拒否の件との関連は不明だ。

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郡は、木材の防腐処理を行う吉州防腐工場・外来者出張所の建物を隔離施設に指定し、一般住民の接近を禁じた上で、郡内の患者を収容している。この工場が選ばれたのは、患者のほとんどがこの工場の労働者とその家族だったからだろう。工場には、政府と咸鏡北道の防疫関係者が派遣され、調査と治療を行っている。

地域で「原因不明の病気が発生した」との噂が急速に広がったため、当局は従業員と人民班長(町内会長)を集めて、患者のことについては何も言うなとかん口令を敷いた。

北朝鮮では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)で今年1月から2月にかけて180人が死亡、2月に首都・平壌で4人が死亡、両江道(リャンガンド)の大紅湍(テホンダン)では4月末に21人が死亡するなど、新型コロナウイルスと疑わしき症状で亡くなる人が相次いでいる。

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北朝鮮当局は国内での発生を認めていないが、国境の川を渡って脱北しようとしていた北朝鮮女性が中国側から銃撃され、搬送された病院で新型コロナウイルスの感染が確認された事例から考えると、国内での感染拡大が起きていることはまず間違いないだろう。

(参考記事:中国で撃たれた重体の北朝鮮女性、コロナ陽性が判明