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北朝鮮の企業所法11条は、すべての企業は内閣、中央労働行政指導機関、道、直轄市、区域、郡の人民委員会(役所)に所属することになっている。また、刑法114条(個人の企業、営業罪)は、個人が企業活動で多額の利益を得た場合は1年以下の労働鍛錬刑に処すると定めている。つまり、個人の企業活動そのものが違法行為なのだ。

そのため、企業を設立しようとする人は、国営企業の幹部と協業する。工場側が、建物や設備の一部を企業を運営しようとするトンジュ(金主、新興富裕層)に貸し出し、カネを受け取るという工場レンタル業だ。こうすれば、外から見ただけでは誰が運営しているのかわからない。

政府は2000年前後から国営企業に対して予算や資材の供給をやめ、「自力更生」することを強く求めるようになった。そのため運営資金を自力調達することを迫られた国営企業は、このようなビジネスに乗り出すようになった。利益の一部でコメを購入し、労働者に配れば、幹部の評判も上がる。

また、国の機関に利益の一部を納めることを条件に、機関の名前を借りて営業する形態もある。

(参考記事:経済制裁の深刻な影響下でもたくましく生き残る北朝鮮商人

トンジュは、国営企業の幹部と組んで個人企業を立ち上げたとしても、どこかに所属していなければならないので、できるだけ力のある単位(機関や企業)に籍を置こうとする。