要人が異例の長期滞在

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今秋、北朝鮮の要人が相次いでロシアを訪問した。11月18日には崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党書記がモスクワでプーチン大統領らと会談したが、これに先立つ同月8日には玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長がプーチン大統領と対面、更に10月1日には李洙墉(リ・スヨン)外務大臣が訪露、ラブロフ外務大臣らと会談していた。

?これほど急ピッチで北朝鮮要人が「ロシア詣で」を繰り返す意義はどこにあるのか。そしてロシア側は何を狙っているのか。これが本稿のテーマである。

?本年に入ってからの露朝間の要人往来については下の表を見ていただきたい。

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?本年3月から閣僚の往来が始まり、当初はロシア側からも要人が頻繁に訪問していたが、上述のとおり、李洙墉外相訪露以降は北朝鮮側要人の訪露が相次いでいる。加えて、最近の北朝鮮要人訪露のトレンドを指摘すれば、ロシアに滞在する日程が長期化していることにある。

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?李洙墉外相、崔龍海書記ともに何と7泊8日にわたった。わが国をはじめとする「通常の」外交常識では閣僚、党要人ともにひとつの相手国に1週間以上の滞在するのは非常に珍しいケースであろう。

?この北朝鮮要人によるロシア詣での意義については、日露いずれの専門家も金正恩朝鮮労働党第1副書記の訪露が近いことを示唆するものだと指摘する。いずれの有識者も指摘するのが、◇金正恩は空路でモスクワに飛ぶ可能性が高い、◇金正恩の訪露も長期間になる――の2点である。

?この2点の予測の根拠となっているのが、李洙墉外相、崔龍海書記訪露のいずれも、金正恩訪露の準備として実施されたという指摘である。両者はともに平壌から空路でモスクワを訪問、ロシア中央の要人と会談した後、極東地域に移動し極東各連邦構成体首長との会談に臨み、最後にウラジオストクから平壌に戻っている。このような、モスクワ→極東ルートは金正恩訪露の際のモデル・ケースとなるとみられる。

?鉄道プロジェクトの名は「勝利」

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では、この露朝接近で両国は何を狙っているのか。北朝鮮によるロシアへの接近の意図に関しては、わが国マスコミ、専門家らは中国との関係冷却化が最も大きな原因であり、国際的孤立の回避を狙った行動であると説明しているが、これは概ね正しい指摘であろう。

今回の露朝接近は、北朝鮮側がより積極的であり、ロシアは受け身であることが、北朝鮮側要人の訪露が相次いでいることからも指摘しうる。他方、受け身であるともみられるロシアが何を狙っているのは何かと問われれば、シンプルに言えば、(1)北朝鮮の鉱山利権と、(2)ロシアと南北朝鮮つなぐ物流路の確保、にあると指摘しうる。