10月のガルシカ極東発展大臣の訪朝では、(1)露朝共同農業プロジェクト、(2)南北朝鮮エネルギーブリッジ、(3)北朝鮮国内鉄道改修プロジェクト「勝利」、(4)ケソン経済特区視察、(5)北朝鮮入国の査証問題、(6)露朝ビジネス評議会設立の概ね6点が協議された(10月28日付インターファクス通信)が、このうちロシアにとって最大の成果が(3)の鉄道改修プロジェクトへの参入であろう。

「勝利」と名付けられた鉄道改修プロジェクトは、20年間で北朝鮮国内の鉄道路3500キロを近代化するというもので、総工費は約250億ドルと見積もられている。ガルシカ大臣の発表によれば、プロジェクトの資金管理を担う露朝合弁企業が設立済みであると説明されている。

先に、ロシア側の北朝鮮との関係強化の狙いを2点挙げたが、「勝利」プロジェクトはこの2つを狙う一石二鳥の要素を持つプロジェクトである。というのも、第1に同プロジェクトの費用は北朝鮮国内で採掘された天然資源売却益で賄うものであり、工事自体も天然資源売却益が確保されてから着手されるとしている。

ガルシカ大臣はこの点、北朝鮮からの帰国後に行われた記者会見の中で「ロシアは何の資金投資もしない。これは商業的なプロジェクト」と述べ、ロシア国家予算からの支出を明確に否定している。

つまり、ロシアは本プロジェクトを足場に、国家予算による投資リスクを負うことなしに北朝鮮国内の鉱物資源、レアメタルの開発権を得たと評価しうる。

休耕地貸与に6億ドル融資も

第2には、本プロジェクトに関してロシア側は、北朝鮮の鉄道網をロシア標準である1520ミリの「広軌」に改修すると明言していることにも注目される。ご存知の方もあろうと思うが、北朝鮮国内の鉄道網は日本の植民地統治時代に敷設されたものがベースとなっているが、この鉄道網は幅1435ミリの「狭軌」である。即ち、ロシアは北朝鮮の鉄道軌道を自国基準に統一させ、物流輸送の円滑化を図ろうとしていることがわかる。

ロシアはかねてから、北朝鮮にはロシアと韓国の物流経路及び天然ガス、電力等のエネルギー輸送ルートの中継地としての意義があることを公言してきたが、この鉄道プロジェクトは北朝鮮とロシアの物流ルートの統一化を図るという意味で、ロシアの国益にかなうものである。

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