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北朝鮮当局は昨年11月30日午前11時、旧紙幣の流通を停止し、通貨の単位を切り上げ、100対1で新紙幣に交換するというものだ。しかし、交換額に1世帯あたり10万ウォン(後に増額)という上限を設けたことで、財産のほとんどを失う人が続出。

ショックを受けて亡くなったり、自暴自棄になって手持ちの旧紙幣を燃やしたり捨てたりする人が後を絶たず、社会は大混乱に陥った。

(参考記事:北朝鮮で貨幣改革にショックを受けて亡くなる人続出

また、一部では商人が暴動を起こした。

(参考記事:貨幣改革に反発した北朝鮮商人、暴動を起こす

ハイパーインフレが起きている北朝鮮だが、デイリーNKは、混乱の真っ只中にいる、北朝鮮国民との電話インタビューを行った。

−新義州(シニジュ)でコメ1キロの価格が1000ウォン代を突破したと聞いた。どこの市場?

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新義州の彩霞(チェハ)市場だ。南松(ナムソン)市場や東中(トンジュン)市場も同じだ。

−上がったのは新義州だけ?

地域ごとに差はあるが、状況のよい新義州がこれほどなら、咸鏡北道(ハムギョンブクト)やその他の地域はもっと価格が上がっているだろう。

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−なぜ上昇したのか?

ドルの為替が上がったため、コメ価格が上がった。住民は北朝鮮ウォンを信用していない。政府がいつまた貨幣改革をして新しい処置を取るかもわからないので、人民元や米ドルが好まれている。

外貨は限度があるが、コメの卸売業者は外貨での決済を望む。外貨が上がれば、コメの価格も当然ながら上がる。

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【解説】北朝鮮当局は昨年12月28日、国内での外貨使用を禁じる命令を出した。しかし、無理な貨幣改革により信用を失った北朝鮮ウォンではなく、人民元や米ドルでの取り引きが好まれ、外貨の需要はむしろ高まってしまった。当局は、外貨を使った人を公開銃殺にするなど、強硬策を取っているが、全く効果がないようだ。

(参考記事:北朝鮮、外貨を使った容疑で女性5人を公開銃殺

−物価上昇による当局への不満は?

恨まないわけがない。不満は募るばかりだ。人々は「もう何も信用できない」、「これからどうやって暮らしていけばいいのか」と言っている。「死を待つのみ」と言っていたお年寄りもいた。苦労の結晶である財産まで奪われ、恨み骨髄だ。

−貨幣改革に関して住民に謝罪したというが

平壌人民文化宮殿に人民班長を集めて、謝罪したと聞いている。新義州でも人民班長(町内会長)と洞長(末端の行政機関の長)を対象に、「政策過程でミスがあり、混乱をきたした」と謝罪した。一般の住民には謝罪は無く、人民班長が説明しただけだ。

−商売人の売り上げを以前と比べると?

まったくダメだ。1日のうちに値段が何倍にも跳ね上がるので、その日暮らしをしている人には大変苦しい。商売ももうダメかもしれない。

−給料は出ているのか?

出ているところの方が多い。月給は2000ウォンだが、様々な名目で1000ウォン天引きされる。残りの1000ウォンでコメを1キロ買えば手元には何も残らない。

−一日に何食食べるのか?

私はましな方で、トウモロコシのお粥や麺などで3食食べている。貧しい人は朝ご飯を抜いているそうだ。このままだと、いつまで持ちこたえられるかわからない。

−餓死者はいるのか?

噂が聞くが、実際はよくわからない。あったとしても数は多くないだろう。知り合いが平壌に住んでいるが、以前と比べるととても厳しいらしい。トウモロコシ粥で生き長らえている人が増えたそうだ。現時点では、まだ餓死者がいないようだが、平壌郊外で1人か2人餓死したという話を聞いた。開城(ケソン)のコプンリで餓死者がいるとの話もあるが定かではない。

−住民はどのように抵抗しているのか?

社会動員課題(勤労動員)をやろうとしない。腹を空かしているのに課題なんてできないと、面と向かって不満を言っている。各種の名目で何かやらされても、嫌々やっている。

(参考記事:北朝鮮の地方銀行で新紙幣の盗難相次ぐ