昨年の貨幣改革(デノミ)以降、北朝鮮当局は国境の警備を強化している。そのあおりで、脱北者が豆満江を渡り中国に密入国する費用が、最高で1万元(約13万3000円)まで上昇していると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

デイリーNKの独自調査によると、2006年に咸鏡北道茂山(ムサン)郡と穏城(オンソン)郡との中間地点から豆満江を渡る費用は、およそ500人民元(当時のレートで7000〜7500円)だった。脱北費用が5年で20倍になったことになる。

このように川を渡る費用が上昇した理由は、北朝鮮内の脱北ブローカーに頼る人が増えたためと見られる。

以前は脱北者が直接国境警備隊員と掛け合って、脱北の日時や費用を決めていたが、今は彼らが紹介するブローカーを通じて脱北するようになった。その費用が上乗せされたということだ。

ちなみに脱北者から受け取った費用は、ブローカー4、国境警備隊員3、中国側の案内人3の割合で山分けしているとのことだ。

北朝鮮政府は今年の始めから、司法機関を中心に綱紀粛正のための50日運動を展開している。

また、今月5日から16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)までを「特別警戒週間」に定め、国境警備隊に、国境都市の流動人口の統制や国境警備の強化に関する特別な指示を下したことも分かった。

このような措置は、光明星節と太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)を前にして、貨幣改革のあおりを受けて苦しい生活を送っている北朝鮮の人々が、密輸や出稼ぎ目的で脱北することを事前にブロックしようという意図があると情報筋は説明した。

情報筋は「去年12月から生活が苦しくなったため、中国に住む親戚や友人のコネを使って、なんとか中国に行って生き抜こうとしている」「保衛員(秘密警察)や保安員(警察)も、普段から中国と連絡を取っている人々を集中的に監視している」と述べた。

さらに、国境警備隊の内部でも脱北幇助への監視が強まり、1月には、会寧(フェリョン)市遊仙洞(ユソンドン)に駐屯する国境警備隊の中隊長が、脱北を幇助したと密告され解任された。

北朝鮮は2000年代中盤まで、川沿いに鉄柵や有刺鉄線を設置して、脱北を防ごうとしていたが、全く効果がなかったため、2006年以降は中隊単位で勤務警戒所を突然移動させたり、脱北者を探し出した軍人に労働党への入党を約束するなどの褒賞を与える形で、脱北者とのコネと断ち切ろうとしてした。

そのあおりで、中隊長クラスでも脱北幇助にはかかわらないようになり、費用が高騰しているとのことだ。

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