北朝鮮の政府系機関が、トンジュ(金主、新興富裕層)と「ツケ払い」で取引をしながらも、代金を踏み倒す事件が多発していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、事件は今年4月に起きた。平壌に所在する保衛部(国家安全保衛部:秘密警察)の外貨機関が、咸鏡北道の保衛部の幹部を通じて、水産物卸売商人ユさんに、巨額の水産物の取引を持ちかけたという。

「保衛部は『党大会に必要な物資だ、代金は大会が終わった後に支払う』と言ったので、ユさんは契約書にサインして、5万ドル(約533万円)分の水産物を納品した。しかし、党大会が終わっても保衛部はビタ一文たりとも払おうとせず、契約書にサインした保衛部の幹部も知らんぷり」

ユさんは、人民保安部(警察庁)に駆け込んで調査を依頼したが、被害届の受け取りすら拒否された。

これまで、ユさんは、清津(チョンジン)市水南(スナム)区域漁港洞(オハンドン)に1万トンの冷凍施設を借りて、個人の漁師たちの水揚げを一手に引き受け、それを国の外貨稼ぎ機関に転売することで儲けてきたが、今回の取引で大損をしてしまった。

政府系機関による代金の踏み倒しは、他でも起きている。

現地の別の情報筋によると、道内の会寧(フェリョン)市では、華僑商人2人が大興貿易の関係者に合わせて中国人民元で11万元(約178万円)を貸したが、「返せない」と踏み倒す事件が起きた。

怒った華僑は、保安部(警察)に調査を依頼。しかし、保安部側は「国の機関との取引で『詐欺』は成立しない」としながら、被害届の受理を拒否。彼らは、大興貿易に押しかけて、幹部の実名を出して「カネ返せ!」と大声で抗議した。

北朝鮮政府は、ことあるごとに海外企業の投資を呼び込もうとしているが、政府機関自らが、詐欺まがいの行為を働いているようでは、展望はないだろう。

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