今年も、北朝鮮恒例の「田植え戦闘」の季節がやって来た。北朝鮮当局は、5月を「農村支援総動員期間」にすることを宣言し、移動、市場での商売の統制を始めた。また、高校、大学を休校にして、学生たちを農村へと送り込んでいる。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近、朝鮮労働党中央委員会政務局は、5月15日から6月15日までを「農村支援総動員期間」にすると宣言した。

期間中は、経済活動や市民の生活に大幅な制限が加えられる。市場の営業時間は午後5時から8時までの3時間に制限され、商売目的での地域外への移動も禁じられた。また、理髪店、美容室、銭湯の営業も午後5時以降に制限され、レストランでは酒類の販売が禁じられる。

大学と高等中学校(高校)に対しては、休校措置が取られ、学生は1ヶ月間農村に行って「農村支援戦闘」に参加するように指示が下された。また、専業主婦、老人、中学生は、近隣の農場で支援に参加せよと指示された。

平安南道や黄海道(ファンヘド)など、すでに田植えが始まっている地域もある。地元住民によると、街のいたるところに農村支援戦闘関連のスローガンが掲げられている。また、宣伝用の街宣車からは大音量でプロパガンダ音楽が流され、プロパガンダ要員が「支援に行け!」とがなりたてていて、うるさくてたまらないという。

そればかりか、町中には「検閲(監査)官」の腕章を腕に巻いた保安員(警察官)が立っており、サボる者がいないかチェックしている。また、裁判所や検察の要員も、工場、企業所、住宅地を回っている。サボっていることがバレたら、最長で10日間拘留される。

当局は、不満を押さえつけるため、締め付けを強化しているようだが、住民の間からは不満が噴出。70日戦闘がようやく終わったと思いきや、またすぐに農村支援戦闘が始まり、休む暇もないからだ。「どうせ協同農場のコメは、両班(ヤンバン、貴族の意)の口にしか入らないのに」とお上を批判する人もいる。

一方の農村でも不満の声が上がっている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の農業関係者が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、農村で人手が必要なのは、春ではなく秋だ。

都会から支援にやって来た人々はやることがなく、酒を呑んだり、トランプに興じたりする。そんな支援者の宿泊費、飲食費は現地の農民が負担させられ、秋の分配からは支援者の分け前を控除される。さらには、支援に来て食糧を盗む輩もいる始末だ。

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