エジプトの「オラスコム社」は「コリョリンク」のブランドで北朝鮮で携帯電話事業を展開し、北朝鮮の携帯電話業界をリードしてきた。しかし、ここに来て雲行きが怪しくなっていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

北朝鮮の通信事情に詳しい情報筋は、最新携帯事情について次のように語った。

「最近、コリョリンクを解約して、もう一つの携帯電話会社『強盛ネット』に移るユーザーが増えている。理由は、コリョリンクの通話品質が急に悪くなったためだ」

コリョリンクは“お払い箱”か

コリョリンクが、携帯電話事業を始めたのは2008年。当初は、便利な上に通話品質が良く加入者数は2012年の100万人から、2015年末には300万人を超えたと見られている。

しかし、最近は通話が途切れることも多く、都市と農村の間の通話は1、2日つながらないことも多くなっているとのこと。原因は不明だという。

別の情報筋は、通話品質低下の理由は、「コリョリンクは、北朝鮮当局にとってもはやお払い箱になったからだ」だと推測する。

また、中国の対北朝鮮情報筋も「北朝鮮当局が、コリョリンクを追い出しにかかっている。北朝鮮当局にとって、技術やノウハウをすべて吸収できたため、オラスコム社もコリョリンクも、必要ない存在になってしまった」というのだ。

携帯電話事業のインフラ整備はすべてオラスコム社の投資で行われたが、北朝鮮はすでに独自に携帯電話事業を行えるほど技術を吸収し、発展させた。もしコリョリンクが撤退したとしても、他の携帯電話会社は基地局を共同使用しているため、今後の携帯電話事業にも支障はない。

コリョリンクを経営するオラスコム社と北朝鮮当局は、北朝鮮国内の携帯電話事業で得た利益を国外に持ち出すことについて長年交渉を行っているが、未だ合意に至っておらず、利益は北朝鮮で塩漬け状態となっている。

「利益をよこせ」と迫るコリョリンクを追い出し、「強盛ネット」と北朝鮮当局が経営するもう一つの携帯電話会社「ピョル」で、国内の携帯電話事業を独占させるのが北朝鮮当局の狙いと見られる。

北朝鮮は経済特区を設置し海外からの投資を誘致しようとしている。しかし、オラスコム社のように、利益が還元されないリスクが高い国に、投資しようとする企業は現れないだろう。

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