南北合同事業である開城工業団地が事実上の閉鎖となる中、北朝鮮住民の間で不安が高まっているという。デイリーNKの平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋が12日、次のように伝えてきた。

「開城市場の商人たちは言うまでもなく、工業団地の製品や資材などを譲り受けて小売業を営んできた全国の市場の商人たちが、不安になっている。とくに工団で働きながら生計を立てていた労働者とその家族を直撃している」

工団労働者の暮らしを直撃

北朝鮮当局は、「出勤せずにとりあえずは待とう。生活の保障はしてやる」と言っているという。しかし、韓国の関係者が、撤退したという情報を聞いた一部の住民からは「誰が給料を払ってくれるのか?」と、疑問の声が上がっている。

内部情報筋は、「開城工業団地の労働者の生活水準は、平壌を除く他の地方よりも比較的よい。給料は安定し、開城工業団地に供給されるインフラ(電気、上下水道)も整っていることから、住民経済を一段階押し上げた。さらに、公団運営が地域経済の活性化につながり、貯蓄する世帯も増加傾向にあった」と述べる。

開城工業団地で働いていた労働者たちは、単純労働以外に、市場での商売の経験がない。今後、公団が完全停止すれば、生活が貧しくなる家庭は数十万以上になることも予想される。

また、「開城工業団地関連の幹部らは、稼働停止が長期化することで、市場が混乱し、思想的な動揺が広がることを懸念している」と、情報筋は述べた。混乱がより広がれば、誰かが責任を負わされる可能性もある。

こうしなか、一般住民の間からは、韓国が開城工業団地を中断したのは、金正恩第一書記の外貨稼ぎ、つまり金脈を遮断することが目的だったという声も出ているという。

情報筋によると、すでに開城の住民からは「市場が死のうが生きまいが、考えもせず、核に狂った将軍様(金正恩氏)が、住民の胃袋(生計手段の例え)を奪った」という不満が出ているという。

一方、機転が利く商人は、工団閉鎖のニュースが公式に明らかになる前に、工団関連の幹部から情報を入手して動向を把握していたようだ。

「事前に、工団閉鎖を知った商売人たちは、公団幹部と結託して大量の原材料の『買いだめ』を計画してた。これまで内陸の市場では、工団の原材料で製造された靴、バッグ、服などが人気を集めていたからだ。買いだめした原材料を、他地方のトンジュ(金主=新興富裕層)により高い価格で卸売するのだろう」(内部情報筋)

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