北朝鮮の金正恩第一書記は、今年の元日に発表した「新年の辞」で「すべての部門で国産化を進めよ」と訴えた。
労働新聞などの北朝鮮メディアも国内向けに、「輸入病(何でもかんでも輸入に頼る傾向)を打破せよ!」と強調。国産化を進めるためにも、生産現場において、資材や原材料などに外国製品、主に中国製品を使うことに依存するなというわけだ。しかし、そう言いながら金正恩氏本人は、舶来ブランドに相当なコダワリを持っている。
例えば、金正恩氏と李雪主夫人はスイス製のペア・ウォッチを愛用。正恩氏がいつも身に着けている、かつての日本のヤンキーが愛用していたようなルーズ・フィットの人民服の生地は英国製。李雪主夫人は、フランス製の高級バッグを常に持ち歩くーーというわけで、いくら「国産化」を叫ぼうとも説得力の欠片もない。
(参考記事:金正恩・李雪主夫妻はブランド好き…最高尊厳カップルは、贅沢も最高級)金正恩氏の主張に沿って、昨年の労働新聞も「輸入病は思想的な病気」「永遠に他人に依存しようとする馬鹿になってしまう」などと、輸入依存と製品の国産化を訴えている。しかし、すべての国産化を目指そうとも、多くの国営工場は原材料や電気の不足、設備の老朽化、従業員の意欲低下、技術導入の遅れなどで開店休業状態だ。
(参考記事:北朝鮮、国産化を強調…「輸入病にかかれば他人に依存する馬鹿になる」)だからと言って、金正恩氏の指示に背いたり、ノルマを達成できなければ、今度は処罰が待っている。上からの指示と現場事情の間で板挟みになって、困り果てた工場幹部が編み出した奥の手、それは「産地偽装」だ。
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