例えば、電化製品は80年代から日本製やソ連製のものを輸入し、ブランドタグだけを取り替えて売られていたと言われる。また、最近の例を挙げると、北朝鮮が独自開発したというコンピュータのOS「レッドスター3.0」は、米アップル社の「MacOS X」との類似が指摘されている。タブレット端末「アリラン」の中身も中国製だと言われている。
北朝鮮では、このようなことが繰り返されてきたこともあり「国営企業の幹部はパッケージさえ変えれば自分たちが生産した気分になる」とのことだ。もちろん、こうした産地偽装は体面を整えただけであり、更に輸入病に頼る結果を招く。
金正恩氏は、「輸入病を打破せよ!」と主張するまえに、競争力のない製品は市場から淘汰されるという経済の基本を学ぶべきだろう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。