北朝鮮の市場で販売される多くの中国製品。かつては、トンジュ(金主)と言われる新興富裕層や卸売業者が中国から製品を輸入し、市場に卸していた。しかし、最近では国営企業が輸入権を独占しているという。
実は、国営企業は、輸入した中国製品のラベルを自社のものに貼り替え、あたかも「国産品」であるかのごとく「産地偽装」して、市場に卸しているのだ。そのうえで、上部には「我が工場では、こんなにも多くの製品を製造している」と報告する。
この産地偽装は、上層部だけでなく消費者もターゲットだ。カラクリを知らない北朝鮮の消費者が「最近は国産品も質がよくなったもんだ」と評価して、国営企業製品のイメージアップが狙いでもある。
多くの北朝鮮住民は、市場に出回る中国、韓国などの質の高い海外製品に触れていることから目が肥えており、国産品に対して概ね否定的だ。その最たる例が「チョコパイ」。北朝鮮でチョコパイは高級品であり、一時期は通貨代わりにもなるぐらいだった。しかし、北朝鮮当局は、大人気の韓国製チョコパイの流通を禁止し、代わりに「北朝鮮製チョコパイ」を市場に流通させようとした。最初は、物珍しさで手に取る人もいたらしいが、「パサパサで不味い」との悪評が広がり、さっぱり売れなくなってしまった。
(参考記事:北朝鮮が韓国製品の取り締まりを強化ーー市場から姿を消した「チョコパイ」)(参考記事:【食レポ】新登場の北朝鮮製チョコパイ…評判はイマイチ「パサパサでまずい」)
こうした市場の声を逆手にとって、国営企業は「産地偽装」で国産品のイメージアップまで図ろうとしているようだが、これは今に始まったわけではない。
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