北朝鮮のコメを取り仕切る収売糧政省(食糧庁)は最近、商人に対して「500キロ以上のコメを所有してはならない」とする方針を伝えたことが明らかになった。方針に基づき、取り締まりとコメの没収が行われたため、価格が上昇に転じ、庶民を苦しめている。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、最近市場に現れた「食糧打撃隊」が、コメ商人に対して大々的な取り締まりを行っている。コメ商人は在庫500キロ以上を抱えているのが当たり前なので、超過分を次々と没収されている。

党大会に向けた動きか

また、雪道で渋滞に引っかかったトラックにも食糧打撃隊が襲いかかり、積まれていたコメをかっさらっていく。没収されたコメ糧政事業所(食糧事務所)の倉庫に収められたという。 今年は、個人耕作地でのコメが豊作となり、大量の米が市場に流入して価格が下がっていた。ところが、今回の取り締まりでコメの流入量が減少したため、11月には1キロ4700北朝鮮ウォン(約70.5円)だったが、今月に入ってからは5500北朝鮮ウォン(約82.5円)まで上がっている。

コメ価格の上昇は平城(ピョンソン)、咸興(ハムン)、恵山(ヘサン)など全国に広がり、庶民を苦しめている。

コメを奪われた商人は当然怒り心頭だが、今回の取り締まりが来年7月の朝鮮労働党第7回大会に向けた動きだという観測もあり、不平を口に出すことすらできずにいる。

ワイロで骨抜き

住民たちは、今まで数年間取り締まりはなかったのに、なぜ急にこんなことをするのかわからないと首を傾げている。「労働党大会の時に、住民にコメを配給するために奪っているのではないか」と見る向きもある。 元々コメは国から配給されるものだったが、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」で配給システムが崩壊、コメを得るには自作するか、市場で買うしかなくなっている。当局は、コメ流通の主導権を国の手に取り戻すために、毎年のようにコメ販売禁止令を下し、取り締まりを行ってきた。

昨年も北部の一部地域では、糧穀販売所以外でのコメの販売を禁止する措置を取っていたが、ワイロで取り締まりを逃れるなど、骨抜きになってしまった。今年の取り締まりは、昨年より強力なものと思われるが、いずれにせよ無駄な努力となるだろう。

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