金正日総書記が死去してからまもなく丸4年になる。父親の急死で、経験を積む時間も、帝王学を学ぶ時間もなく、政権の座に就いた金正恩第1書記だが、やはり父、そして祖父の金日成主席と比べるとカリスマ性に欠ける。

北朝鮮初の女性追撃飛行士を撮影する金正恩氏
北朝鮮初の女性追撃飛行士を撮影する金正恩氏/2014年11月28日付労働新聞より

年功序列の朝鮮の文化においては「若造」であることがデメリットのうえ、金正日氏が生まれたとされる「白頭山の密営」などの出生にまつわる神話もないばかりか、実母が大阪・鶴橋出身ということもあり、神格化もままならない。

今年の春から学校での偶像化教育も始まっているが、教材の内容も抽象的で、学生から「元帥様はいつ生まれて、どういう人生を歩んだのか」と聞かれても、教師も理解しきれずまともに答えられない有様だ。

一般住民に対しても、政治講演会などで偶像本を配布し、「元帥(金正恩氏)の偉大さ」を浸透させようとしているが、住民らはワイロを払って欠席したり、会場の後ろの方では居眠りするなど、冷めたムードが漂っている

道端に設置されているスローガンや壁画も金正恩氏だけのものに交換する作業を行っているが、そんなものは誰も気にも留めない。そんな中で、当局は金正恩氏の現地指導を使い、身を持って「偉大さ」を教え込もうとしている。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は次のように語った。

「当局は、労働党や軍(朝鮮人民軍)を通じて『元帥様を最高の待遇でお迎えしなければならない』と強調しながら、『何か不手際があれば命で償ってもらう』と脅迫まがいのことをしている」

高級幹部が、次々と粛清されるのを見た中下級幹部たちは、その言葉に震え上がり、金正恩氏が現地指導にやって来たら最高の待遇で出迎える。住民を総動員して、道路を雑巾がけさせるほどの徹底ぶりだ。

当局は、さらに「元帥様を最高の待遇で迎えてこそ、真の社会主義の偉大な公民だ」という教育を行っているが、現場での住民の反応は冷淡だ。

処罰が怖いので表向きは「元帥様に永遠の忠誠を誓う」と言っているが、「なんであんなガキに、かしずかなければならないんだ」「住民を締め付けたところで、真の忠誠心なんて得られるわけがない」などと、ホンネをこぼしながら雑巾がけをするという。

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