北朝鮮の新興富裕層「トンジュ(金主)」の間では、「金儲けは地方で、消費は平壌で」という言葉が流行している。とくに年末のこの時期、地方の多くのトンジュらは、平壌に集まって消費する。また、これを狙ってホテルや百貨店もに新たなサービスを始めるなど、まさに「年末商戦」が繰り広げられている。

デイリーNKの平壌内部情報筋は、「平壌市内の有名ホテルや外貨商店、高級レストランが、地方のトンジュたちで溢れかえっている。1年間のビジネスを終えた地方の外貨稼ぎのトンジュの多くが、平壌に集まってお金を湯水のようにつかっている」と語った。

接待とワイロ漬けになる中央の幹部たち

北朝鮮では11月末になると、国家計画委員会で発行された年間輸出入許可証が仕上る。

中央機関は、この時期に合わせて、「外貨稼ぎ総和」や「生産総和」など、様々な名目で地方の企業責任者やトンジュを呼び寄せる。彼らから豪華な接待と外貨のワイロを受け取るためだ。

情報筋によると、トンジュたちは、平壌市内の高級ホテルに寝泊まりして、朝から晩まで、高級レストラン巡りをしながら、一人一食当たり300〜400ドル、数人で数千ドルを使うこともあるという。

北朝鮮で100ドルは、おおよそ一般労働者の10ヶ月分のコメ価格に相当する額だ。単純計算だが、トンジュたちは、4人家族1年分の食費以上の散財をしていることになる。

トンジュたちは、レストランだけではなく平壌のレジャー施設でも楽しむ。

「バーカウンターが設置されている室内プールに行って、男女区別なくプールサイドに陣取るのがお気に入りのようだ。泳いだ後は、一皿50ドルもするアヒル、イカ、焼肉のつまみで、1本100〜200ドルもするブランデー、ウイスキーを飲む。ホテルの外貨レストランでは、高級ビールと20ドルの冷麺を食べる」

平壌市内に滞在中、トンジュたちはタクシー会社のベンツを借りきって、ホテルやプールに到着すると、英国王室の近衛兵風の姿をした案内員が迎え入れる。

「外貨商店では、幹部達にプレゼントするための電子機器や高価な商品を購入する。ホテル、デパートでは、地方のトンジュをお客様として迎え入れるために、配達サービスまで導入しはじめた」(平壌の内部情報筋)

まさに、平壌バブルといったところだ。その一方で平壌と地方のみならず、北朝鮮社会全体で貧富の格差が拡大していることは言うまでもない。

    関連記事